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国際協同組合デー記念講演会を開催しました。

国際協同組合デー記念講演会
「地域との連携でつくる協同組合のバリューチェーン(価値連鎖)
~作る側、売る側、使う側、食べる側の持続可能なコミュニティーづくりについて~」
                 講師:農業ジャーナリスト 青山浩子氏


 2014年7月9日(水)、滋賀県農業教育情報センターにおいて、国際協同組合デー記念講演会を開催し、県内の協同組合の役職員66名が参加しました。

開催主旨
(1) 国際協同組合デーに呼応して、県内の協同組合・団体関係者が集い、学習・交流の場を通して、協同組合の意義と役割をあらためて理解し、深めあいます。
(2) 国際協同組合年(2012年)における「協同組合がよりよい社会を築きます」のスローガンを継承し、協同組合の社会的役割をより強めていくために、課題と展望を探ります。
(3) 農林水産業の生産分野と消費者・地域との連携のあり方や、協同組合が担うべき機能と役割は何かを考え合い、事業の付加価値を追求します。
(4) 国連が制定した今年の「国際家族農業年(IYFF2014)」のテーマとあわせて、環境保護や食と農の連携、食の安全・安心の確保など、家族農業や小規模農業が担う重要な役割について考え合います。
 


国際協同組合デー(青山さん①).jpg協同組合デー講演会2.jpg


 
青山浩子さんの講演では、前段に今回の講演内容の要旨を述べられ、農業を中心にして“価値連鎖”の事象を解説するものであること、また現地でのレポートを踏まえて課題整理し、今後の方向性を提案するものであることを述べられました。以下にはその要旨を列記します。
 ① 国連が定めた2014年のテーマ、国際“家族”“農業”年から連想するものとして、食べる側からは、食糧の安定需給、輸入農産物が増えることによる食の安全・安心確保への不安。作る側からは、消費者の低価格志向による採算維持への不安、安全・安心思考による労力を理解してもらえない。これらの“距離”を埋めるには、連携や連動という表面的な“連鎖”ではなく、農業者の生計が成り立つ価格を実現させ、消費者がその価格を価値として受け容れる“価値連鎖”を作っていく必要がある。 
 ② 「JAたじま(兵庫)」の産地側の積極的な営業による“環境保全型農業”の実践として、無農薬米「コウノトリを育むお米」の普及をあげられ、“一括精算方式”の導入と、仕入担当者や消費者との産地交流を通して販路を拡大し、取り扱い500店舗、ネット通販実績月間200万円を達成した事例を紹介。「JA三島函南(静岡)」のB品の馬鈴薯を“みしまコロッケ”として、農家・JA・商店街・行政が連携して商品化し、認定店100業者(店舗数1000店以上)としている成功事例の紹介。福井県池田町の事例として、街のスーパーの売り場の一画に「こっぽい屋(直売所)」を設け、農家から集荷した作物を専用車両にて流通させ、物流の効率化と作物のロスを少なくする方法で人気を集めている事例などを紹介されました。 
 ③ 福島県喜多方市では、子ども達が周囲の支援を受けながら「農業科」で学ぶ取り組みとして、3~6年生の児童は35時間を授業として農業を体験し、命の大切さや社会性、主体性、心の豊かさを学び、多くの児童が「将来、農業をやりたい」と希望し、農業の価値を創造していること。また、上区城内営農組合(宮城県加美町)では、都市部との共生をめざし、中学校と農家との交流が町内会ぐるみの交流に発展し、“災害救援活動の相互支援に関する協定書”を結び、半年後の東日本大震災では、営農組合が水や灯油、米などの支援物資を提供した。その後、町内会にて朝市を開催し、米の注文が震災前に比べ倍増した事例を紹介されました。
 ④ 今後の方向性として、消費者が農業、農村に触れる機会を増やし、理解して支えようという機運を高め、農業者間や消費者との連携を協同組合が支援し、結びつきをさらにステップアップする必要があると結ばれました。