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2010年度県連役員研修会 日本の生協2020年ビジョン(4)

滋賀の生協 No.155(2011.4.12)
2010年度県連役員研修会
日本の生協2020年ビジョン

2011年2月11日 ライズヴィル都賀山

日本生活協同組合連合会政策企画部 高橋 怜一さん

   ふだんのくらしへの役立ち

 最初に「さまざまなライフステージに対応した商品事業の革新をはかり、誰もが生涯を通じて利用しつづけられる事業・サービスを構築します」ということです。夕食宅配利用者が共同購入の小さいOCR用紙が読めないなどの声があり、高齢者への対応の必要性が明らかになってきています。「若い世代の声を聞いてほしい」ということで、インターネットの調査を行いましたが、若い世代は、生協への価格に対する不満が非常に強いです。

 二つ目は、「さまざまな事業の効果的な連携をはかり、くらしにおける生協利用のウェイトを高めます。事業革新の手段として、さまざまなIT技術を活用します」ということです。一人当たりの利用高が減っている中で、それを何とか上げていく努力と、成城石井の大久保前社長から指摘のあった固定客というか、たくさん利用してくれる「生協ファン」を作らないといけないという提起をさせていただいています。先ほどの若い世代対象のインターネット調査では、組合員の六九・二パーセントが「ふだんの食料品の買い物で最も利用するのは?」の設問で、生協ではなく「スーパーマーケット」と回答しています。生協を利用されている方でも生協の宅配や生協のお店がくらしの中心になっていないという結果が出ました。生協利用のウェイトをどう高めていくか。「幅広い事業をもう一度くらしの視点で見直し、効果的な連携をはかる」ということです。インターネット受注も全国生協を合わせれば、組合員二百二十万人、供給高千七百億の規模があります。膨大な利用データをIT技術も活用して、くらしに役立つ提携を掲げていく必要があるのではないかということです。

 三つ目は、「事業への組合員参加とコミュニケーションを着実に前進させます。食品の安全の課題では、社会をリードする役割を果たします」ということです。「組合員の運営参加は、生協事業の先進性と強さの保障」であるということを明確に位置付けて、「リスクコミュニケーションを丁寧にすすめながら、社会的なレベルを引き上げる取り組み」を進めるとしています。

 四つ目は、信頼される事業とか社会的責任をどう果たしていくかということです。消費者の視点から、合理的な流通経済のしくみづくり」、「商品購入を通じた組合員の社会参加を広げられるテーマ商品」などです。また、「全ての事業を福祉の視点から見直す」では、高齢者が使いやすい表示とか仕組み等を既存の事業でも見直して、高齢期の方々にも使えるようにしていこうということを提起させていただいております。

 五つ目は、宅配事業です。「宅配事業はITの活用や配送・注文の仕組みの改革など、新たな事業革新に挑戦します」ということです。職員のワークショップで出された事業の改善・革新のアイデアということで、四つほど書かせていただいておりますので、参考にしていただければいと思います。※(表1)

 六つ目の店舗事業は、「チェーンストアとしての運営力強化をはかり、地域に密着した収益性のある食品スーパーマーケット事業を確立します」で、店舗近隣(小商圏)で大多数の世帯が利用する店舗事業の確立ということで、新たな出店と同時に、赤字店舗の閉鎖・撤退を含めた経営判断をして、スーパーマーケット事業を確立しようというシンプルな提案になっています。

 七つ目は、共済事業です。「共済事業だけではまかなえない分野も保険商品の提供を含め、生協全体としてくらしの保障ニーズに総合的に応えよう」ということが提起になっています。

 八つ目は、福祉事業です。介護保険事業の確立と、居住系サービス(泊まる・住まう)への新たな挑戦、そして生活支援サービス等も事業化としてチャレンジできないかということで、医療福祉生協、生協関連の社会福祉法人とのネットワークをつくっていきたいという提案になっています。


   地域社会づくりへの参加

 一つ目は、生協の事業・活動のインフラを活用しながら、現在広がっている夕食宅配等、地域社会の変化から産まれる新たなニーズに応えた取り組みを展開します、としています。「第二次案」では外国人の仲間づくりや生協利用を補助する外国語ツールの作成を追加させていただいております。組合員ワークショップで出された意見ですが、これまでの生協は乳幼児期の子育て支援というのは多くやられてきたのですけれども、思春期の子どもを持つ親子に何か取り組みができないかということを提起させていただいております。

 二つ目は、生協だけではできないものは、「安心してくらせる地域社会を目指して、行政や他の協同組合、NPOなど、様々な団体と協働しながら、地域ネットワーク」をつくっていくこと。そして生協が「地域にみえる形で日常的な相談窓口機能」を発揮できないかという提起をさせていただいております。

 三つ目は、「消費者・市民として、くらしに関わる主体的な力を高める」ということで、消費者力の向上や社会的課題の学習機会を備えて、地域社会の中から消費者市民社会を展望したいという提起をさせていただいています。

   世界と日本社会への貢献

 一つ目は、国際的な協同組合運動で、「協同組合の価値に関わる社会的な理解と共感を広げます。国際的な協同組合運動は、発展途上国を中心に貢献します」としています。

 二つ目が、平和の取り組みです。核兵器の廃絶に向けて、引き続き平和の取り組みをすすめます。十年ぐらいすると被爆体験者とか戦争体験者の方がいらっしゃらなくなるので、被爆や戦争の体験を次世代に伝えていく活動に取り組みます。また、日本国憲法の基的原則を大切にしながら地域で学ぶ場づくりに取り組みます。

 三つ目は、国際協力の活動ということで、この間生協はユニセフの活動で募金等も増やしてきたのですけれども、今回初めて「国連のミレニアム開発目標」というのを掲げさせていただきました。二〇〇〇年に策定して、二〇一五年までに八つの目標を実現に向けてということですが、非常に厳しい進捗状況ということで、これらに貢献できることはないかということで掲げさせていただいております。※(表2)

 四つ目は、二〇二〇年に向けた環境の政策と課題ということで、昨年日本生協連でまとめた新たな環境政策について書いています。※(表3)

 五つ目の食料・農業の問題に関しても、昨年の日本生協連の答申に沿って食卓と農業をつなぐ役割を果たしていきたいということを掲げています。

 六つ目は、安心してくらせる日本社会をめざして、国への政策提言を、食品の安全、消費者政策、食料・農業政策、社会保障制度、福祉や環境の分野の各分野で実現に向けた取り組み含めていきたいということです。


   元気な組合員組織と職員組織

 一つ目は、「多様な組合員の関心や必要性に応える組合員活動と誰もが参加しやすい仕組みつくり」ということで、「なかなか平日、昼間だけでは参加できない方々に土日も参加できる工夫」、「若い世代に向けてはIT技術を活用した参加とネットワークの仕組みづくり」、「趣味やスポーツ・文化などの活動支援や連携」、「働く世代や高齢世代が知識や経験を地域社会で活動できるような活動や企画」、「そういう幅広い参加を通じて、活動や組織をリードできる中心的な担い手が育成できないか」という提起をさせていただいております。

 若い世代へのアンケート結果で、地域活動への参加意向で、トップは「子育て」なのですけれども、次に「趣味・スポーツ・文化」ということで、若い世代は「子育て」も大切なのですが、「自分磨き」「自分の時間をどう使っていくか」ということに関心が高いです。こういったことへの連携とか支援も、若い世代に参加いただくには必要ではないかと書かせていただいております。

 二つ目は、「地域社会で役割発揮ができる組合員組織づくり」ということで、今エリア委員の任期制がとられていて、任期が終わった後生協の外で活躍されている方とどうつないでいくかという課題認識も必要だと思います。また、若い世代がNPOに多く参加されているという意味では、そういった活動やグループへの支援や連携というのも必要ではないかという提起をさせていただいております。

 三つ目は、職員組織です。生協総合研究所の二〇〇八年の「生協における働き方調査」によると、パート職員や委託スタッフに比べ、正規職員の方が「自分の仕事に自信を持っていない」。その理由は「人員管理に自信がない」ということなので、現場がもう少し元気になれるマネジメントができないかという問題提起です。

 四つ目は、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスです。生協は卸売・小売業の同業者に比べても、女性の登用が立ち遅れています。こういったことが事業の低迷にもつながっているのではないかという提起を含めて、男女共同参画とワーク・ライフ・バランスにしっかり取り組もうという提起をさせていただいております。

 五つ目は、幹部集団含めての育成ということです。

 六つ目は、経常剰余率二パーセント以上を安定的に確保し、健全な事業経営を確立することが、生協が生き残るための大前提ということです。

 七つ目は、公正で民主的なガバナンスの実現と、コンプライアンス経営の確立です。

   さらなる連帯の推進と活動基盤の整備

 一つ目は、事業連帯の推進ということで、組合員のくらしに貢献する手段としてさらなる連帯の強化、機能統合を進めます。

 二つ目は、県域を超えた生協づくりの挑戦を提起させていただいております。

 三つ目は、生協や協同組合をとりまく法制度に関して、生協の組織や事業活動にふさわしい法制度の実現を掲げさせていただいております。

 四つ目は、広報・生協ブランドに関して、全国で広報戦略を連携し、生協のビジビリティ(視認性・認知度)を向上させる…さまざまな事業や活動を通じて、総合的な生協ブランド形成に挑戦します。

 若い世代へのアピールの取り組みは、さいたまコープのエリア委員へのヒアリングでは、「生協は購買だけではない」ということに価値を感じていらっしゃいました。

 そういう意味で、共済や組合員活動など、幅広い事業や活動をしていることをアピールする取り組みとともに、さまざまな事業や活動を通じて、総合的な生協ブランドの形成ができないかという提起をさせていただいております。

 五つ目は、全国の生協の力を合わせて、組合員のくらしに最も役立つ、生協事業の推進という提起をさせていただいております。

 六つ目は、日本生協連の中央会機能の強化をすすめるということと、県連には多面的な役割を発揮してほしいということを提起させていただいております。

   引き続く全国論議の呼びかけ

 全国の生協の役職員と、活動の中心を担っている組合員一人ひとりが、自ら主体的に参加し、意見を交わし、「日本の生協の二〇二〇年ビジョン」を語れるよう、ホームページでもご意見を受け付けられますので、是非活発なご意見をお願いできればと思います。

 ご静聴ありがとうございました。


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