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騙されない賢い消費者になるための"草の根"の取り組みについて(1)

滋賀の生協 No.140(2007.3.20)
騙されない賢い消費者になるための“草の根”の取り組みについて(1)

消費者被害を出さないための取り組み
(財)関西消費者協会 崎山 三千代さん

他人事ではない消費者被害
 消費者トラブルには時代ごとの特徴があります。

 戦後の物のない時代は、商品の品質や、闇市に代表される高価格のトラブルが主でした。高度成長期、サイリドマイドなどの薬害、水俣病などの公害、人体の安全性に対する商品トラブルが問題になりました。80年代になると、豊田商事に代表される、物からサービスへ、契約形態などのトラブルへの転換期でした。

 そして現在は、販売形態の多様化によるトラブルが増加してきています。お店で買うこともできるし、テレビや雑誌からのカタログ販売、電話でのセールス、訪問販売など、販売形態が多様化しています。また、現金支払い、前払い、クレジットカード、クレジット契約など支払い形態も多様化し、それだけ販売に対する知識が必要になってきていますが、消費者がその多様性に対応しきれていない。IT社会の反映で、ネットショッピング、ネットオークションなどのインターネット関連のトラブルも増加しています。

 消費者問題は、いつ、誰にでも起こる時代になっています。

悪質商法とは
 一般的に言われているのは「だます、おどす、誤解させる」ことによって、消費者に著しく不利益な契約をさせることです。

 典型的な手口としては、まず不安をあおる。「お宅の家は今度地震が来たらガタガタになってしまいますよ」とか不安をあおって消費者の購買動機に結びつける。

 そして親切にして信用させる。独り暮らしの高齢者に親切を装って近づき「自分のおじいちゃん、おばあちゃんを思い出す」と信用させて「この人から買ってあげよう」と言う気持ちにさせる。若者であれば、恋人を装って近づき高額な絵画や宝石を買わせる。

 最後は急がせる。「今日だけですから」「早くしないと危ないから」など、何らかの形で急がせる。

なぜ被害に遭うのか。
 一つは「自分だけは大丈夫」と過信をしている。世の中で何が起こっていても自分が被害に遭うことを前提として生活をしていない方がたくさんいるんです。

 それに対して「悪質商法」はますます巧妙化してきている。「ああ言えばこう言う」という「応酬話法」など、徹底的に消費者の「NO」を封じる訓練をしてきますから、日頃そういう訓練をしていない消費者はつい口車に乗ってしまうということになります。

 今でこそ「架空請求」の話はご存知でしょうが、こういうことは浸透していくのにすごく時間が掛かる。世の中の実態把握ができていなかったら、簡単に引っかかってしまう。また「自分一人がだまされた」ということで、被害を表に出さないケースもあります。

 実態把握していただく消費者啓発が大事です。まず、必要な情報をタイムリーに届ける。特に若者と高齢者の被害が増加傾向にあります。

 学生や若者は、学校教育、社員教育の中で集まる機会が多くそこで啓発していくこともできますが、高齢者、家庭の主婦など、家にいらっしゃる方は自治会とか、老人会とか地域の集まりで伝えることが効果的だと思います。

高齢者被害の特徴
 高齢者には、「自分が被害にあっている」ことに気づいていないケースがあります。「催眠商法」などは、若いお兄ちゃんが盛り上げてくれて、日常雑貨をもらって、「次はお布団だ」と売りつけられても楽しくて「高いものを安くしてもらった」と思っている。

 でも、いつかは「だまされて」ことがわかる。その時に高齢者の場合は「一人で抱え込む」ことが多いんです。「だまされた自分が悪い」と、他人に否をもっていくのではなく、自分の否をかぶってしまう。

 ですから、「地域の見守り」。ボランティア、民生委員、ヘルパーさんとか高齢者の身近にいる方は、「大きな段ボール箱はある」「布団が山のように積んでいる」「お風呂とか、トイレに洗浄器がついている」とか、気をつけていただくことも大事です。

くらしのナビゲーター
 大阪府では、「くらしのナビゲーターによる高齢者向けミニ講座」をやっています。

 一般府民の方に「くらしのナビゲーター養成講座」を受講していただき、地域に出かけていって高齢者の集まりなどでお話をしていただく。

(1)悪質商法の手口の紹介
(2)クーリングオフ制度がありますよ
(3)困ったときは消費者センターに相談してくださいね
(4)被害に遭わないための方法をみんなで声を出して言ってみましょう。

 むずかしいことを言うとややこしくなるので、この4つのことを知って、伝えて、広げる草の根運動だと思っています。


「悪質商法」はますます巧妙化してきています。と語る崎山さん。