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騙されない賢い消費者になるための“草の根”の取り組みについて(2)

滋賀の生協 No.140(2007.3.20)
騙されない賢い消費者になるための“草の根”の取り組みについて(2)

手作り紙芝居で啓発講座を
東近江市・生活環境課 宮尾 光栄さん

東近江市の紹介
平成17年、2月11日、八日市市、永源寺町、五個荘町、愛東町、湖東町の合併により東近江市が誕生しました。

 さらに平成18年1月1日には、東近江市と能登川町、蒲生町が合併し、鈴鹿山系から琵琶湖にいたる広大な市域を持つまちとして、新たな歴史を歩み始めました。

 人口は県内では大津市に次ぐ2番目、世帯数は39580世帯。高齢化率は19.01パーセント。面積は高島市、甲賀市に次ぐ県内第三位の広い市になりました。

 ですけど、東近江市はほとんどが山林と農地。地域密着型で高齢者が多い町です。「悪徳業者」が高齢者に狙いをつけるにはもってこいのところかもしれません。

啓発事業の取り組み
旧八日市市には三十年の歴史を持つ消費学習グループ「八日市市消費者問題研究会」があり、平成14年度には「消費者啓発寸劇」を取り入れ一年に20回位の依頼がありました。10人ぐらいの有志が女優気分で現在も活躍されています。

 合併の時、消費者グループも七つありましたが、グループ長と事務局で話し合って「東近江市消費者グループ学習会」を発足しました。現在会員は250名と大所帯です。

行政職員としてできることは何か
消費生活課、相談窓口としては、相談者を救済するだけでなく、未然防止につなげるための啓発事業が必要だと考えています。

 市民により賢い消費者になっていただくために、「消費生活の情報通信」という啓発チラシを自治会で回覧してもらい、ホームページの「センター情報」も掲載しています。

 2回目の合併をきっかけに、「消費生活センター便り」を発行しました。全戸配布ですから四万部いるのですがお金がありませんので職員三人で印刷しています。相談員のところへ「チラシを見て来ました」という方もいらっしゃいます。

 「消費者セミナー」も年6回開催しました。

大型紙芝居で消費者啓発講座
でも、研修会の開催やチラシを発行しているだけでは「悪徳業者」のターゲットになりやすい、独り暮らしの高齢者、高齢者だけの家庭の啓発ができません。

 それで消費生活環境課の職員でグループを作って、「出前講座」を始めました。
 「出前講座」は、高齢者が自宅近くで講座を受けていただくことが可能で、一人ひとりに「消費者力」を身につけていただくと同時に、お世話係りの人たちも含めて「地域ぐるみで消費者被害を防ごうと」いうことを実感していただくことがポイントです。

 「寸劇」では仕事でスタッフが揃わない時とか、「不法投棄だからすぐ来て」と練習していても職員が出たり入ったりで練習もできないという弱点がありますが、模造紙で書いた「大型紙芝居」でしたら、その間に話の復習もできるし、小道具も最小限ですみます。

 自前のオレンジのジャンパーを着て相談員が出前を行います。相談員が行けない時は、課長や次長も自前のジャンパーを着て行っております。

知恵と勇気で消費者被害を防ごう
講座ではまずセンター紹介で5分、紙芝居は25分、相談員のワンポイントアドバイスに20分使います。そして「高齢者が狙われています」で2分。最後に、「みんなで思い切り歌いましょう」と「うさぎとかめ」のメロディーで、「悪質リフォーム」と「クーリングオフ」の「替え歌」を歌います。

 これまで15回、1000人以上の方々に受講をしていただきました。合併して7つの地域からの注文がありますから、「蒲生弁」や「愛東弁」「五個荘弁」を、その地域出身の職員から一夜漬けで習って、それを講座で使っております。

 高齢者の方も「すごく身近に感じられた」と好評ですし、こういう形で地域密着の講座を続けております。


実際の紙芝居を見せていただきました。

紙芝居による出前講座の体験を語る宮尾さん。