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2008年度県議会会派・生協懇談会

滋賀の生協 No.147 (2009.2.20)
2008年度県議会会派・生協懇談会
会派を超えて、県民を巻き込む取組みを


2008年11月26日(水)
滋賀会館4階特別集会室D
 11月26日、2008年度県議会会派・生協懇談会が開催されました。 今年度は、「食の安全・安心条例化」をはじめとする「食の安全・安心の取り組み」、「消費者支援機構関西」を支援するなどの「消費者問題の取り組み」、「NPT(核不拡散条約)再検討会議への代表派遣」などの「平和の取り組み」、「温室効果ガス削減」に向けての「環境の取り組み」、その他「福祉の取り組み」「防災の取り組み」をテーマに意見交換が行われました。

【県議会議員】
粉川 清美議員 公明党
出原 逸三議員 民主党・県民ネットワーク
中沢 啓子議員 民主党・県民ネットワーク
田中 章五議員 民主党・県民ネットワーク
西川 仁 議員 日本共産党
節木美千代議員 日本共産党
清水 鉄次議員 対話の会・びわこねっと

【生協連合会】
会 長 加納 正雄 滋賀大学教育学部教授
専務理事 西山 実 コープしが・理事長
常務理事 小林 和美 滋賀医科大学生協・専務理事
常務理事 藤井 絢子 滋賀県環境生協・理事長
理 事 白石 一夫 コープしが・常務理事
理 事 海老澤文代 コープしが・理事
理 事 菅原ひさ子 コープしが・理事
理 事 田口 真由 滋賀大学大津地区生協・専務理事
理 事 諏訪 健次 しが健康医療生協・専務理事
監 事 犬井 道子 コープしが・監事
事務局長 池田 信一 滋賀県生協連合会・事務局長

(司会)副会長 山本 優 滋賀県勤労者共済生協・専務理事

県民を巻き込んだ環境への取り組みを

司会 それでは、ご出席いただきました、全議員さんの方から、滋賀県生協連からの提案に対する、ご意見なり、ご見解をお伺いいたしたいと思います。


公明党
粉川清美議員
粉川 「食の問題」から「環境問題」まで、多岐にわたって大変素晴らしい活動をされているんだなあということを改めて知る事ができました。 「消費者問題」「食」につきましては、私も一人の主婦として今一番関心のあることですし、取り組みについても、また議会ででも力添えをしながら、条例制定にも一緒に頑張ってまいりたいと思っています。

 「環境問題」につきましては、先日近畿二府四県の議員研修があったんですけれども、そのまとめの段階で「それぞれが少しずつの努力では、50パーセント削減目標は達成できない。生活なり、様々な仕組み自体を変えていかないと、目標達成は現実的ではない」というお話をされていました。私もお買い物袋とか、家の電源を抜くとか、小さな努力はしていますけれども、それで50パーセント削減できるのか不安に思っていたところです。

 「菜の花」「森林の問題」「びわ湖の問題」「太陽光発電」などの取り組みを、「県のシステム」として何とかできないか。県民お一人おひとりの努力を大きな力に変えていくという意味では、もっと行政がしっかりとしたシステムを作って、県民を巻き込んだ活動へと進めていかないと、結果は難しいんではないかと思っています。

 今子どもたちは「フローティング」というびわ湖の学習船に乗っています。子どもが小学校入学時に菜の花を植えて、育てて、その菜の花から油を採って、それで「うみのこ」を動かそうという素晴らしい事業です。それを、去年20年度予算の事業説明の中で、「一通りやったので、もうやめます」という提案がされました。私たちは「是非継続するように」と訴えたんですけれども、実現できませんでした。

 行政ができるところは行政がやれるように、できる範囲から取り組みをさせていただいて、県民運動として広がるように勉強もしながら取り組んで参りたいと思っております。

県民の食に対する生協への信頼回復を

民主党・県民ネットワーク
中沢啓子議員
中沢 去年の県議会会派・生協懇談会で、「食の安全」のテーマの時に、「もう少し組織内だけでなくて外の検査も」という話が出ていたのに、タイミング悪く「餃子問題」が起きました。県民はたぶん生協に対して「安心・安全」という思いをすごくお持ちやと思うんですね。なので、是非また努力して信頼を回復していただき、「安心して食べられる」という形になっていただきたいという思いをすごく持っております。

   「環境」の分野は「地産地消」も含め、複合的な成果が出てくると思うんです。そのためには「当事者意識」というのはすごく大事やと思うんですね。生協さんは31万人を越える方が参加されている。日々声を掛けられるところを持っていらっしゃる、これだけの大きな組織ってなかなかないと思うんですよね。ただ「買っている」という立場でなく、「一緒に行動する」「一緒に何かを作り上げていく」という部分は、もう生協さんでしかできないんじゃないかというぐらいの重みがあると思いますので、是非頑張っていただきたいなと思います。私たちも一緒に頑張りますので。

戸別補償政策など地産地消の推進を

民主党・県民ネットワーク
出原逸三議員
出原  「食の安全・安心条例」は早くやらなければならないと思っています。また、「食育」の取り込みもしっかりやっていくことも必要であろうと思っております。

 それから「食の安全・安心」では、今の県の「地産地消」の目標レベルは「これで良いの?」という思いもいたします。うちの党としては、「戸別補償政策」を、極端な言い方「国がしないんだったら、県がキチッとやっても良いんじゃないの」というぐらいのものを打ち出さないといかんのではないかと思いますね。財政的には大変厳しいけれども。

  「温暖化」の問題については、かつての「せっけん運動」のような、みんなが取り組む「総ぐるみの運動」をやらないといけない。これは県だけではできないんだけれども、みんなでやっていける「仕掛け」を作っていく必要があるんだろうなと思います。

  「森林税」の使い方という部分では、もっと突っ込んで議論していかないといけない。ペレット工場の問題もそうですけど、ハードの部分を含めて、「何に、どう使ったら良いのか」ということは、真剣に考えていかないかんのかなという思いがします。

消費者団体訴訟のADR対処方針は?

民主党・県民ネットワーク
田中章五議員
田中  「消費者団体訴訟」のことですが、「ニューファイナンスの差し止め訴訟」はどういう形でやられたのかお聞きしたい。

 今まで身近なところで、消費者に代わって問題解決に取り組まれるという形がなく、結果的には弁護士さんなりを通じて訴訟をするということで、費用面などで泣き寝入りという形に終わっていた。消費者団体が訴訟を手掛けることで問題解決に寄与しておられるというのは、非常に良い形かなと思うんですけど、裁判外での紛争処理「ADR」は今後どのように考えておられるのか。お聞きしたいんですけれども。

具体的・実践的でない県の地球温暖化対策

日本共産党
西川 仁議員
西川  「地球温暖化問題」は「待ったなし」の課題で、このまま推移していったら人類滅亡の危機に直面している。何も手を打たなかったら今放出しただけで地球は大変な事になっていく。そういう課題をIPCCは提起をしていると思うんです。

 そういう観点で、滋賀県の施策を見てみてみますと、例えば「滋賀県地球温暖化対策推進計画」の改定版で嘉田知事は「産業革命以後、科学の進歩は私たちの生活を豊かにし、大きな恩恵を享受できるようになりました。しかし一方、大量生産、大量消費型の生産様式は石油や石炭などの化石燃料を大量に消費し、これに伴って大気中に放出される二酸化炭素などの温室効果ガスが、地球温暖化をもたらしていると考えられています」と述べている範囲なんですね。僕は「待ったなし」の捉え方が弱いんではないか。市民の様々な運動、具体的な実践へ目がいくようにならないとあかんのと違うかなと。EU諸国の先進例とか、自然エネルギーを使ったものは低額買取制度で推進できるような体制に持っていくとか。こういう課題につなげていくことが重要かなという感じがしています。

 もう一つは、例えば「クールビス」とか、それが実践されていったら発展するんだと思うんですが、そこへ矮小化されるような傾向があって、大気中に温室効果ガスを排出しているのは誰で、どこへメスを入れたら無くなるのかということに、国民消費者の目が行くようにすることが大事かなという感じがしています。

 そういう上で、滋賀県の取り組みなんかも大事なのは、目標はオープンにして、その推進状況がみんなの目に届くようにしたり、それぞれが社会的責任を果たしていくことに結びついていくようなことにならないと、なかなか50パーセント削減ということは、行ききらないという感じがしております。

 尚、みなさんの個別の取り組みについては、見にも行かせていただきますし、体験もさせていただきたいと思っております。

地産地消をすすめて食の安心につなげる

日本共産党
節木美千代議員
節木   「食の安全」では、「食の安全・安心の条例化」はキチッと進めていって、県の役割も果たしていただきたいと強く思います。と、言いますのも、「汚染米」の情報が入った時に、県の方は「食料事務所の方へ聞いてくれ」ということで、なかなか県に情報が無いということでは「県の役割ってどうなんや」とすごく疑問に思ったところです。

 大元は、カロリーベースで食料の六割を輸入に頼っているところにあって、数パーセントしか検査できていないという検疫問題があったりして、もっと「地産地消」を高めていくことが必要だと思います。「学校給食の食育」と合わせて国も重要な位置づけをしていますので、その意味では米は県内産を使っているということですけれども、副食の方は現在県内産は2割ですが、25パーセントは県内産を使うことを目指しているということです。けれども、自校方式からセンター方式になるとうまく大量に作れなかったり、仕組みの問題では「もう限界や」と、学校給食担当の方からも聞きます。

 そのへんでは生産者にとっても励めるような農業で、学校給食にもっと使えるように、また環境の問題とあわせても多面的な機能が農地にはありますので、そういう面で「地産地消」をもっと知恵も出しながら、県としてできることをしっかりと果たしていくことが必要だと思います。「価格補償」「所得補償」も国がキチッと位置づけて、再生産ができれば若い人たちもまた農業をめざしていける。今この時に、立場の違いを超えて、みんなが議論をしながら「地産地消」をすすめていくことが、安心につながるように思います。

 「大規模災害」では、国の方も小学校、中学校の耐震化については補助率も上げてきていますけれども、早く「公共施設の耐震化」も含めて、地域の避難場所をキチッと確保していくことが必要ではないかと思っています。

基本理念は「県民」 高まる県民の環境意識

対話の会・びわこねっと
清水鉄次議員
清水  初めて参加させていただきました。対話の会・びわこねっとの清水でございます。

 私どもは、中央の政党がない滋賀県ならではの会派ということで「県民党」ということを基本理念に活動しております。5人しかおりませんけれど、元自民党系から、社民党や、時には共産党に近い考え方から、バラエティーに富んだ議員がおりまして、日夜いろいろ議論しながら「県民」を基本理念に活動させていただいております。

 「食」に関しましては、基本的には「地産地消」というのが希望であり、それを目指していかなければいけないと思っているんですけれど、なかなか消費者の財布を考えますと厳しいんじゃないかというのが現状ですね。せめて、子どもたちから、できる限り進めるべきじゃないかと考えております。

 「環境」に関しましては、今年は石油が上がりまして「これはチャンスや」ということで、私どもの会派も「石油に替わるエネルギーはないか」と、ペレット、薪ストーブ、太陽光発電、BDFの研究をいたしました。ところが石油が下がってきたもので、県民の気運が少し落ちているような気がします。しかし、油が上がって、車の利用をやめた人が、油が下がりましても相変わらず自転車、公共交通機関を利用されておりまして、これは非常に良いことだなと思っています。

 ただ薪ストーブは、山に行って、木を薪にして、一年間干しておかなければいけない。スペースも要ります。またペレットにしても、多賀町の大滝林業技術研修センターの話では、なかなか生産が厳しいようです。太陽光発電に関しても、液晶などが取り合いになっているような状況で、なかなかイニシャルコストが下がらない。関電さんが国の要請によって高く電機を買っていただければ、また状況が変わってくるのではないかなと思います。

 BDFに関しては、僕も大賛成なんですけれど、「軽油引取税」の問題で、ブレンドすると「軽油引取税」32円10銭かかりますので、この点がまだまだ弊害かなと思います。

 しかし、県民の意識は以前より関心が高くなっているのは感じています。

 「防災」に関しては、私どもの地元は高島ですので、琵琶湖西岸断層に関しては非常に危機感があります。高島の小中学校の耐震はほとんどできています。意識は高いんですけど、琵琶湖と山と間に挟まれた細い一本道で生活が成り立っている地域ですので、もし起こったら船にお世話にならないといけません。しかし港は耐震が全くできていないというのが現状ですので、この問題に関しましては、まだまだ財源がいるなと思います。

「消費者団体訴訟制度」 国は「差し止め」から「損害賠償」へ
司会  田中議員の方から、「ニューファイナンス」に関するご質問がありましたので、池田事務局長のほうから、その点についてお答えください。


滋賀県生協連合会・事務局長
池田 信一さん
池田  消費者団体訴訟制度は、去年(2007年)消費者契約法の一部改正ということで、施行されました。これは消費者にとって不利益で不都合なことがAで起こっていることはBでも起こっている、Cでも起こっている。こういう内容については、適格消費者団体が被害者本人を代表して「差止め請求」だけ訴訟を起こせる。ただこれは「差止め請求」だけなんですね。EU諸国の場合は、悪徳商法で溜め込んだ金を全部吐き出させることができる。だけど、日本の場合は「差止め請求」だけですから確信犯的な悪徳事業者は「はい、わかりました」と言って、また別の法人格を立ち上げて悪いことをするということができる。だから我々はこの法律はまだ完全だと思っていないんですが、「消費者団体訴訟制度」が導入されたということは画期的なことであるという捉え方をしております。

 現在、消費者契約法にのみ「消費者団体訴訟制度」が適用されているんですけれど、来年度からは「特定商取引法」「景品表示法」の二つも「団体訴権」が導入されます。

 それで、我々が「差止め請求」を行うにあたって、即「差止め請求」をするということはとっていません。パイオネット情報、消費生活相談センターに相談に来る件数が非常にたくさんあるという事案について、まずその調査活動に入ります。検討委員会は大阪にあるんですけど、福井県も含めた二府五県にそれぞれの「検討グループ」がありまして、一つの事案について「検討グループ」を立ち上げることになっています。「ニューファイナンス」の件も検討グループを立ち上げて、「この事案は本当に差止め請求をしないといけない内容なのか」について論議しました。この検討グループの中には弁護士、司法書士、消費生活相談員、消費者団体、滋賀県は生協連が参加しています。

 「ニューファイナンス」は消費者金融です。この消費者金融が契約条項の中に、「10万円借りて3ヶ月借りる予定が1ヶ月で返せるようになったら、それまでの利息に加え残りの元金の3%の違約金をプラスとして払え」という内容があるんですね。「金利を取られるので早く返したい」というのに更に違約金をとられるということは「消費者にとって一方的に不利ではないか」ということについて、まず「申し入れ活動」を行う。で、この「申し入れ活動」にキチッと答えが帰ってくれば良いんですけど、「なしのつぶて」というのが何回もあって、その後、京都地裁へ提訴したというのが「ニューファイナンス」の案件です。現在、京都地裁で争われています。

 もう一つ、訴訟を起こしているのが「フォートレスジャパン」。所謂「トリニティー」という英会話学校の企業です。京都、滋賀などの大学生が就職説明会から出てきた時、アンケートにつかまって携帯の電話番号を聞かれ教える。そこからしつこく電話がかかってきて行ったら帰らしてくれない。しょうがないから名前と住所を書いてテキストを買わされた。それが何十万とするので、「大学の授業と並立できないから解約します」と言ったら、違約金をべら棒に取られる。「これはおかしいんじゃないか」ということと、その契約のさせ方が「強制契約」になっているので「申し入れ活動」をした。しかし、「改善した」との回答があったものの被害が一向になくなっていないので、大阪地裁に提訴しているということです。

 運営上の経済的なところですが、なんでやっているのかというと、会費と弁護士さんのまったくの手弁当なんですね。来年度から「特定商取引法」「景品表示法」と範囲が広がりますけど、活動の「財源」が一番大切で大変な課題になってきています。制度をより効果的・継続的にすすめるためにも損害賠償制度の導入という法改正を是非いろんな場で言っていただきたいなあというのが本音のところでございます。

田中  まさに私も、予算、財源のあたりのことが聞きたかったとこなんです。許されるのなら国の方から消費者庁構想に合わせて予算が地方の方に降りてくるような事ですけれども、形はどうあれ、中央で握っている予算を振り分けるような施策を国が展開してくれるように、力強く要請して行きたいと思っています。