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食の安全・安心に係る意見交換会 「米トレーサビリティ制度について」(1)

滋賀の生協 No.156(2011.8.8)
食の安全・安心に係る意見交換会
「米トレーサビリティ制度について」

2011年6月27日(月) コープしが生協会館

近畿農政局滋賀農政事務所食糧部 白井 一隆 消費流通課長



 昨年十月一日から、「業者間の取引等の記録の作成・保存」が義務付けられて一部施行された「米トレーサビリティ法」に、七月一日から、「産地情報の伝達義務」が加わりました。滋賀農政事務所の白井課長に、その概要について説明していただきました。

   記録の作成保存と産地情報の伝達

 「問題が発生した場合などに、流通ルートを速やかに特定するため、米穀等の取引等の記録を作成・保存すること」。そして、「産地情報を取引先や消費者に伝達すること」。この二つが「米トレーサビリティ法」の柱となっています。

 まず「取引等の記録の作成・保存」は、昨年(二〇一〇年)の一〇月から既に実施をされています。具体的には、「お米とか米加工品を取引、事業者間の移動、廃棄」などが行われた際には、「その取引等の内容を記録してください」ということと、「その記録を保存してください」というお願いをしています。

「産地情報の伝達」は、「取引先や消費者に産地を伝達してください」ということで、今年(二〇一一年)七月から始まります。

   トレーサビリティの定義

 「トレーサビリティ」とは「生産、加工及び流通の特定のひとつ又は複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること」(コーデックス委員会※)と定義されています。

(※コーデックス委員会:消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、一九六三年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関。国際食品規格の策定等を行っている。我が国は一九六六年より加盟)

 この「移動を把握できること」が「トレーサビリティ」の趣旨です。

食品のトレーサビリティとは
○ チェーントレーサビリティ(ワンステップバック・ワンステップフォワード)



○ 一つの段階のトレーサビリティ:内部トレーサビリティ(加工段階の例)


   チェーントレーサビリティ

 例えば、お米の場合、生産農家がお米を生産し食材卸に出荷します。すると生産者と食材卸との間に取引が生じ、生産者の側で言えば出荷という取引がされて、食材卸から見れば、入荷という取引が生じます。その取引関係がそれぞれにおいて出・入荷として記録されます。

 以下、食材卸から加工製造業者、加工製造業者から食品卸など、最終的に小売店までの取引が行われるたびに「出・入荷記録」が順繰りに行われていきます。そして最終的には小売店から一般消費者に売られますが、この場合の「出・入荷記録」は必要ないことになっています。

   内部トレーサビリティ

 実際の製造工場においては、いろいろな原料を使っている場合が多いです。また、同じ原料であっても、A県産、B県産、C県産と、いろいろな産地の原料を使って商品をつくるケースがあります。製造の段階で、いろいろな人から原料が入ってくると、「この原料はどの人からのものか」わかりづらいのが実際の話です。

 しかし、ここがしっかりしないと、「食品の移動の把握」というトレーサビリティのルールが成り立ません。できるだけ「どの商品にどの原料を使用したのか」がわかるように「内部トレーサビリティ」の仕組みを整理してくださいとお願いしています。

「チェーントレーサビリティ」の取引は「義務としてやってください」という話ですが、「内部トレーサビリティ」については時間が必要ですので、今の段階では「努力義務」になっています。けれども「やってほしい」というお願いをしています。

   法律上の対象品目の規定

 「米トレーサビリティ法」の対象は、「お米」ですが、正式には「米穀等」となっています。「お米」には、「精米」だけでなく「玄米」、又は玄米の前の「もみ」とかも含まれ、お米を粉砕した「米粉」等も対象となります。

 それ以外にも、「米菓」「餅」「団子」「清酒」「みりん」等のお米を原材料とした加工品も「米穀等」に含め、トレーサビリティで追っかけます。

   取引等の記録の作成・保存

 記録の保存期間は「取引を行った日から三年間」というお約束になっています。

 お米を使った災害用の商品等で「賞味期限が五年」などの場合で、取引日に賞味期限が3年以上残っている場合は、「五年間保存してください」というルールもあります。また「消費期限」がついているものでは、三カ月保存といったルールもあります。(1)品物の名前(2)産地(3)取引の数量(4)取引をした年月日(5)取引先、相手先の名前(6)搬出入した場所。この六個の項目を「記録の事項として残して下さい」ということをお願いしています。

 取引の記録については基本的には紙媒体、例えば納品書等の伝票類で構いません。その伝票の中に、先ほど説明した六個の記録事項が入っていればOKです。伝票でなくても、ノート、帳簿でも構いません。また、昨今ではパソコン等を使って、電子的に処理をしているケースもあろうかと思います。そういった電子媒体でも構いません。

 記録は、事業所ごとに作成してください。しかし、「わが社は全て本社で一括してやっています」という場合であれば、本部・本店等で全てを管理しても構いません。ただし、支店等に照会があった場合など、「本店に照会すれば取引内容は全てわかる」などの一定の要件を満たせば問題はありません。

 今、「加工用として取り扱ってください」とか、「飼料用として取り扱ってください」とか、「米粉用として取り扱ってください」等、用途を定めて流通をさせているお米があります。そういった「用途が限定されたお米」を取り扱う場合は、先ほどの「六個の記録事項」と併せて、その「用途」も記録してください。

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