滋賀の生協 No.155(2011.4.12) |
2010年度県連役員研修会 日本の生協2020年ビジョン 2011年2月11日 ライズヴィル都賀山 日本生活協同組合連合会政策企画部 高橋 怜一さん |
こんにちは。日本生協連政策企画部の高橋と申します。私は、日本生協連のビジョン委員会の事務局を務めておりまして、ビジョンの執筆作業にもあたっておりますので、本日ご説明に上がりました。 |
ビジョン検討に至った経緯 |
現在の「日本の生協の二〇一〇年ビジョン」は、二〇一〇年度、今年度で終了します。本来ならば二〇一〇年からのビジョンをつくって、それにもとづいた中期計画をつくるのが正当な道筋なのですが、コープ手作り餃子重大中毒事故などもあり、「第十一次中期計画(二〇一〇年~二〇一二年)」は、「日本の生協の二〇一〇年ビジョン」に基づいて策定し、「次のビジョンは二〇一一年以降に決めよう」という位置付けに至ったというのが、この間の経緯です。 |
これまでの長期計画、ビジョン |
これまで日本生協連の場で策定した長期計画・ビジョンは四つありました。 一九九〇年に策定された「二一世紀を展望する生協の九〇年代構想」、一九九六年制定の「日本生協運動・九〇年代後半期五箇年計画」、一九九七年制定の「生協の二一世紀理念・ビジョン」、二〇〇五年制定の「日本の生協の二〇一〇年ビジョン」です。期間も十年とか、五年とかさまざまで、長期計画的なものや「こうありたい」という姿を書いているもの等、いろいろな形がありました。興味のある方は「ビジョンサイト(http://vision.jccu.coop/)」に掲載しておりますので、ご覧いただければと思います。 「日本の生協の二〇一〇年ビジョン」は、二〇〇五年から二〇一〇年までの五年間のビジョンだったのですけれども、副題は「構造改革の長期的指針」ということで、どちらかというと長期経営計画的なものでした。「事業」「経営」「連帯」「組織」「社会的役割」を五つの課題として「全国で五百店規模のSM店チェーンを、全国生協でつくろう」とか、「個配で一兆円規模を全国でつくりあげよう」とか、具体的な経営数値もたくさん盛り込んだビジョンでした。 |
「日本の生協の二〇二〇年ビジョン」の特徴 |
今回「日本の生協の二〇二〇年ビジョン」を検討していますが、その前に、数十年変わらぬ信条として「生協の二一世紀理念」というものを全国生協でつくっています。「自立した市民の協同の力で、人間らしいくらしの創造と、持続可能な社会の実現を」ということで、一九九七年に日本生協連通常総会で決定しました。 「理念を見直そうか」という議論もしたのですけれども、格差や貧困、地球環境の問題とかが深刻化する中で、「ますますここに書かれた理念の実現が必要なのではないか」ということで、今回検討する「日本の生協の二〇二〇年ビジョン」では「この理念を前提にしよう」ということと、「ICA声明協同組合の価値ということをしっかり基礎に据えよう」ということにしました。その上で「一〇年後のありたい姿」を、主に地域購買生協のありたい姿ということで検討しています。 二〇一〇年から二〇一二年の「第一一次中期計画」は、「日本の生協の二〇一〇年ビジョン」をベースに策定済みですので、二〇一三年以降の中期計画の具体化には、「日本の生協の二〇二〇年ビジョン」に基づく全国の地域生協の二〇二〇年のありたい姿が反映されていくような関係性で今検討をしているところです。 |
ビジョン委員会の発足と論議 |
ビジョンの検討組織としてビジョン委員会を作りました。 過去四つの長期計画・ビジョンは、主にこうした委員会の場でビジョン案を作ってきたというのが、これまでのオーソドックスな形でした。 今回は「全国論議の枠組みを委員会として設計して推進します」ということで、全国生協のみなさんと議論をした上でビジョンを作ろうというのが特徴になっています。 ビジョン委員会では、当初「一、二年先も見通せないのに十年後なんかわからない」という堂々巡りの議論もしながら、二〇〇九年一一月には、欧州生協にも視察を行いました。 欧州生協視察は、イギリス、イタリア、スウェーデンの事業連帯を中心に調べてきました。イギリスは、全体の七割が「コーポラティブグループ」という生協に合併が進んでいます。イタリアは、地域事業連合があって、全国事業連合があるということで、日本に似た形ということです。スウェーデンは、国境を超えた連帯までやっています。三カ国の連帯構造はそれぞれ違うのですけれども、商品調達や商品開発は全国で一本化して成果を出されているところが共通した結果かなあというふうに、事務局としては見ています。 二〇一〇年の前半には、論点整理をとりまとめ、全国論議を呼び掛け、公開学習会やワークショップを設計しました。「ビジョンの骨子案を出そう」という議論もあったのですけれども、「骨子を出すと議論の幅が狭くなる」ということで、まずは「二〇の論点」という形で論点整理・資料集を出させていただいて、いろいろなご意見をいただくという進め方をしました。 |