滋賀の生協 No.151(2010.4.15) |
二〇〇九年度滋賀県連役職員研修会 滋賀県生協連の役割と課題(1) 二〇一〇年二月一三日(土)ピアザ淡海 303会議室 |
今日的県連の役割と地方消費者行政強化について 講師 金子 隆之さん (日本生協連関西地連事務局長) |
一.組織構造等検討委員会・答申より (一) 日本生協連の位置付けと機能 |
「組織構造等検討小委員会の答申」をお配りしております。その中から、日本生協連と県連の役割について、少し整理をいたしましたのでご説明いたします。 最初に日本生協連の「位置付け」ですが、購買生協、大学生協、共済生協、労済生協、医療生協、住宅生協」...事業領域・属性も違い、発展の仕方も違っています。生協を作った人たちがその目的で一致し「生協」という「法人格」を取得し、それぞれが地域の中で育ってきています。そうした生活協同組合が、全国で唯一横断的に「みんなが集まれる場所」ということで日本生協連があります。「共通の課題で議論できる場」「生協としてのテーマを一緒に考えていく場」「社会的な存在として、どういうことが大事かを議論できる場」だと思っています。 それから、「機能」ですね。「日本生協連の中央会機能は重要であり」と「組織構造等検討小委員会・答申」では言っています。特に「中央省庁などへの渉外広報・政策提言機能」ということでは、この間、食の安全に係わり農水省、厚労省と、消費者行政に係わって内閣府、消費者庁と、また厚労省と生協法改正に係わって、全国の会員生協の考え方をもって対処してきました。特に「食品衛生法」の改正時には、全国署名が大規模に取り組まれ約一四〇〇万人という実績をつくりました。合わせて、地元選出の国会議員に県連・会員生協が主体となって働きかけ、「生協とは」「現食品衛生法の不備」について説明を行ってきました。そうした経過から、生協の社会的役割を多くの方々が知るところなり、ある意味初めて社会のインフラとして認知された歴史だった思います。食品衛生法改正署名以降、生協法改正も全会一致でした。 「現状の到達点」ですが、現在日本生協連には、中央会機能があって、いろいろな事業領域の生協があります。それをどう整理したらいいのかが、「組織構造等検討委員会」のテーマでした。「中央会機能と購買生協連機能」、実は日本生協連会員の中で、地域など購買生協が七〇%の組合員を占め、七九%の供給高を持っているため、機能の分離の仕方はかなり難しい。「当面は一緒にやらないとダメだ」というのが一つの結論ではありますが、「将来にわたっては中央会を独立させていく検討が必要だ」、そうした答申になっております。 なお、日本生協連への加盟のあり方として、事業領域・属性などの違いから、大学生協のように日本生協連からは脱退し全国連組織に加盟し、県連には加盟する動きとなって整理されてきています。〇八年度に「日本コープ共済連」が創立され、一〇年度に「医療生協全国連合会」が創立を予定しています。 |
(二) 県連の位置付けと機能 |
県連は県の中央会として、県内の事業領域や属性を越えた「県内生協の連帯の場」ということで、日本生協連と縦のラインはありません。ですから、「県連がどう力をつけていくのか」「日本生協連との関係でどうするのか」というのも、「お互いにどう影響し合えるか」という関係だと思っております。そうは言っても、日本生協連は「県連加入の会員でないと日本生協連の会員になれない」というステップで組織を形成しています。 県連の一番大きな機能は、「地方行政への働きかけ」です。県内他団体との関係も含めて、中央会としての機能を持つことで、連帯したり、窓口になったり、政策的な議論をすすめたり、事業領域や属性を越えて会員同士の交流を進めています。もう一つ、県議会もその視野に入っていまして、信頼関係をつくり、政策提言が必要になってくる。特に、地方消費者行政強化の課題、消費者力向上、食の安全、大規模災害対策、環境保全、改正生協法に係る課題などが具体的な課題として出て来ていると思います。 一方全国的にみると、県連の組織率が非常に低いところから高いところまである。二〇%というところもあります。例えば大阪などは、今会員生協は五十くらいある。一方、ひと桁の会員構成もかなりあります。求められる機能は違わないですから、県連がその地域にふさわしい形態で、地域へ貢献していくことだと思っています。 |
二.今日的な県連の役割、求められ方 (一) 生協の役割への歴史的変化 |
昔を思い起こすと「生協規制」もありましたが、「不良有害食品問題」や「公害問題」などが背景にあって、生協が大きく信頼を得て、伸びてきたということもあります。十五年前に起こった「阪神淡路大震災」では、全国の生協の人たちが、応援要請はなかったのですけれども、トラックと人を持ち込んで独自に支援に入った。このことは、「自分たちの生協の仕事とは何なのか」「生協がどんな役割を社会の中で果たさなければならないか」を改めて考えさせられた大きな事象であったと思っています。 「食品衛生法の改正の署名」は、九九年、二〇〇〇年のころに大きく盛り上がり、一度廃案にはなりましたが、BSE問題が起こって最終的に法整備されました。前近畿厚生局長は、「千三百七十万筆という数値は今でも忘れません。国民が願っている事をきちんと届ける生協のすごさを改めて感じました」と言われました。 それから〇四年に「消費者基本法」が制定されます。「事業者を管理することで、消費者が反射的利益を得る」という考え方から、「消費者の権利」を明確に謳ったという意味で時代を画する出来事だったと思っています。「消費者庁設置」もこの「基本法」に基づいた設置です。流れとしては、消費者市民が権利を持つことに、日本社会の議論が高まってきたと見る事ができます。 その中で「生協法」が改正されました。それまで、生協は独自の会計基準と法体系の中で、社会的に比較されることは無かったわけです。しかし、社会で事業をやっている限り、同じ指標で比較ができる「会社法の準用」ということが、「社会性を持つ」というプロセスの中では大事なことだったと理解をしています。そして、全国消団連を支えながら〇九年「消費者庁設立」につながるとういう流れです。 |
○国政・地方行政と生協 |
日本生協連の設立総会は一九五一年ですから、来年六〇周年です。生協は、戦前・戦中を通じて解散させられたり、終戦直後には食糧確保ということで多くの生協ができて、解散したり、細々とした営業で生き残ったりといろいろな経過がありました。しかし、幾つかの生協を除けば、全国ではなかなか生協を理解していただけるような状況でなかったということです。それが「生協法改正」の「あり方検討会」議論の過程で、食の安全について生協の取り組み評価がされ、社会貢献してきたという正面からの評価を受けました。 あわせて、生協が持っている「協同のインフラ」です。「協同の理念」を掲げ「実践」をしようとしている組織を「日本の社会の中で、地域の中でインフラとして活用をしていきたい」という見方をされたと、私自身は理解しています。このことに自信を持って生協がさらに力をつけていく時だと思っています。生協は購買事業とあわせて、理念を持ち、それを実現し、地域に貢献する組織である。そういう認識が、この数年の間で一気に社会的認識が広まったと理解しています。 |
○地域からの生協への期待 |
〇七年度の生協法改正後、行政からの期待、地域での他の団体からの期待を、私自身感じることになりました。 国政の場で変化したのは、先ほど述べた通りですが、県行政・議会の中でも、市町村行政でも、この間大きく変わってきています。まだ「公民館を生協は事業者だから貸さない」ということがあるかと思うのですが、それは地方行政が「この間の変化をきちん理解していない」からであり、生協が自信と責任をもって「生協の社会的役割について、説明責任を果たしていない」と、とらえた方が良いと思っています。 |
○地域他団体・NPOと生協 |
もう一つは、地域の他の人との係わりという事例です。地連の主催の「ふくし助け合いの会」の会議に、講師として呼んだ大阪市立大の講師の方は、大阪市で有償ボランティアのネットワークを生協と一緒に作っています。それから「子育て広場の担当交流会」で講演いただいたNPO法人まめっこの理事長、消費者問題学習会の講師をお願いした全国相談員協会関西副部長、この方たちは、めいきん生協や京都生協で元活動に参加されていた方々です。結局、生協とのいろいろな係わりがあって、生協を卒業した後自分のやりたいことで、どんどん社会進出して行っている。そして、現状の中で、改めて地域づくりについて生協とのつながる必要性を実感されています。こういう人たちが社会にいっぱいいるということを改めて認識したという場面でした。 |
(二)地連管内の県連の役割発揮 到達点 |
○行政と住民をつなぐ |
まず総論として、地方消費者行政強化・消費者力向上、食の安全、大規模災害対策、環境保全、改正生協法に係わる課題での地方消費者行政の期待は「自治体の財政難の肩代わりを生協にしてもらう」ということではなく、この間の歴史と取り組み実績から「消費者主体の社会を一緒に作っていく」「その役割の一翼を生協が担うのがふさわしい」と考えている行政の方々が多くいる、ということです。そして、組合員との双方向のコミュニケーションができるということ、地域の中で信頼を増すほど、ネットワークを張っていく要として、役割を果たせるということなのです。県連・生協がこうした自覚をもって、地域でのつながりを創造する社会的役割を果たすことだ、と思っております。 |
○食の安全安心条例 |
「食の安全条例」制定は、滋賀県は県民会議を進めてこられて、地連管内で六番目の県になりました。政令市では名古屋市で制定され、京都市が準備を進めています。他の県も学習会を開くとか、県行政と一緒に考えていく動きになっています。この条例は制定して終わりではなく、施策を作ってどう実践していくかが大事です。この間地連の会議に、大阪府、京都府、兵庫県、三重県の行政から、直接施策の具体的な説明をしていただいています。特に食の安全に係わることは、広域に発生した場合の連携方法では、大阪府からの説明ですが、近畿二府四県の行政ネットワークができていて「これは回収の指示をした」とか、「これは業者からこういう報告があって、一旦出荷停止にする」とか広域被害にならない対策を共同で進めているようです。 行政連携に生協がどうつながるのか、という点では、「自主回収報告制度」が滋賀県でも具体化されていますが、大阪では、関西支所が「報告義務を有する特定事業者」となります。「冷凍餃子」のような問題が起こった場合には、すぐに市の保健所に届けなければならない、そして回収終了報告をすることが義務付けられる仕組みです。事業連合や会員生協のPBの場合でも、府県行政の判断と制度の違いはありますが行政の動きにリンクできる、県連・事業連合・単位生協のネットワーク対応も必要になると思っています。 |
○大規模災害対策 |
今年「大規模災害広域連携図上演習」を奈良県で行いました。東海・北陸地区でも開催していますが、県連と拠点生協による現地対策本部の設置が機能したことが大きな前進でした。もう一つの前進点は、いわゆる「防災監」(発災時、県・災害対策本部の指揮官・副知事格)との事前打ち合わせができ、生協の訓練に直接参加をしていただいたことです。 昨年の滋賀での「図上演習」は滋賀県連とコープしがの連携の範囲でした。県内全地域を視野に入れた場合、購買、大学、職域、医療、労済生協、全構成生協がどう取り組むのか、全体に係るのか、地域ごとに係るのか。最適な方法で、それぞれが役割を果たす検討が必要だと思います。また、被災して、人命救助から始まって、対策本部をどう立ち上げていくか、被災の初期行動について、県ごとに準備をしないといけない。広域連携は、県連と県連が、県連と地連が連携し、日本生協連本体ともつながって支援ができるような形にしようと考えていますので、検討をお願いしたいと思っています。 もう一つ「減災マップシミュレーション」です。共同購入で言いますと、地域ごとにマップがありますので、自分の住んでいる地域ごとにシミュレーションをやる。避難所まで避難する時にどういう障害があるか、助けなければいけない人はいるかなどのシミュレーションですね。自分たちが想定したいろいろな危機に対して、その地域の住民と一緒になって対応し、命を守っていく。これを始めますと、市町村の行政とか、消防とか、非常に興味を持ってつながっていけますので、滋賀県連でも実践してみて、それを地域に持って帰って皆さんでやってもらえるようにできないものかと思っています。その地域で大学生協が加わったら大学とどう連携するかなど、一緒に考えればいいわけですよね。 |
○環境保全の取り組み |
〇八年度から「地球温暖化防止みんなでエコ!一〇〇〇万人キャンペーン」CO2削減の取り組みを進めてきました。「一日エコライフ」「植樹キャンペーン」とか、工夫をこらした取り組みをしました。「一日エコライフ」の取り組みは、関西地連では九月の段階で今年十四万世帯ぐらいだと思います。最終的に二十万世帯位参加していただけると思いますが、去年は半期だけで二十八万世帯参加いただきました。なかなか同じことを二度やるというのも難しいですが、家庭のCO2削減は生協がトップランナーです。例えば、埼玉県の場合二〇〇八年度、この取り組みが県行政に広がり、県内全小・中・高と、四百の企業が参加し、参加者が百万人を超えました。生協が今やっている課題というのは、組合員さんの知恵も含めて全部つながっていますから、使えるものはかなり汎用性があるわけですよね。そういうものでうまく行政や事業者ともつながっていける可能性があるのだろうと思っております。〇八年度はキャンペーンに千三百万人の参加ということになりましたが、商品利用も含めてですからなかなか実感を持てない部分もあります。また近畿エリアでは、「COP15ネットワーク関西」を結成し、各地で多彩な講演会や学習会を開催し、代表団四十名をコペンハーゲンに派遣しました。ただNPOの団体が会場に近寄れずに、かなり歯がゆい思いをしながら、みなさん帰ってきましたけれども、今後報告会など、COP16の向けた取り組みにつなげるよう、県連がリードしてもらうことが必要だと思っています。 |
○平和の取り組み |
五月のNPT再検討会議への生協代表団は百名を超えました。地連の管内からは四十名、代表団を派遣します。被爆者団体協議会との連携もして、今回、国連本部で被爆の実相を伝えるパネル展示を予定しています。「平和都市宣言」の取り組みでは、先日統計を取ってみたら、関西地連管内で滋賀県だけ、宣言をした都市が増えていました。この地道な取組みに「敬意を表します」ということで、報告をしておきます。 |
三.地方消費者行政強化について |
○消費者庁の新設 |
「地方消費者行政」についての話です。九月一日消費者庁が設立されて「消費者に係る二九法案」の主管・共管となりました。消費者庁が司令塔の役割を果たす点ですが、現在はまだ本庁の中でも整理中ということで、この消費者の権利を具体化実質化するのは、地方消費者行政の整備を強化・充実させていくことが重要だと考えます。その意味は、消費生活センターを「どのように自分のくらしに有効に機能させるか」という点に尽きるのではないか、ということです。 新しい消費者行政ということで、「消費者庁ってどんな仕組みで動くのか」ということですけれども、まず消費者が、「誰もがアクセスしやすい一元的な相談窓口・消費生活センター」(地方公共団体)」に「消費者被害など苦情相談」をする。すると「消費生活センター」が消費者・相談者に「助言・斡旋・啓発」をする。ですから事業者との関係で消費者が解決できるという建前ですけれども、実際はほとんどあっせん・解決できていません。「機能」はあるのですけれども、非常勤の相談員さんが事業者の窓口につなげるのが精一杯です。地方消費者行政予算もこの五、六年の間に半分ぐらいになりました。窓口もどんどん縮小しているし、相談機能に地方行政の職員が責任を持って関われていないのです。このような実態を消費者庁・地方行政がきちんと把握し、分析をして、判断するというところまで、できていない。「消費生活センター」が実質的に機能することが、まず一番大きなポイントになります。 それから「地方消費者行政の充実支援・環境整備」ということがあります。現在、〇八年度百五十億円の「地方消費者行政活性化基金」が二次補正され、各県はこれに基づき「基金創設」の条例化をしたわけです。百五十億円というのは三年間分(二〇〇九年度~一一年度)の基金ですが、既に〇九年度が終わります。消費者行政強化充実に向けて、〇九年度の状況、一〇年度予算について、また「金基の三年間」の計画についての有効性や活用について、施策内容の点検を消費者の目線ですることが、今一番大きな課題になっていると思います。実際に行政の側だけから見てみますと、消費者が何に困っているかほとんど見えていないところがあるはずです。それを消費者の目線で、今の問題、消費者行政が持っている問題や被害にあっている実情をきちんと伝えて、どのように地方消費者行政が充実強化されねばならないのか、議論し行政へ提言していかなければいけない。それが「消費者ネットワーク」です。ですから、行政との関係で「パートナー」というのは、行政にとって都合のいい「パートナー」ではなく、消費者のために行政へ提言できる「パートナー」ということです。先ほど生協が「信頼をされてきている」と言いましたけれど、例えば弁護士会、司法書士会含めて、他の諸団体との関係でも「生協だったらいい」と言うんですね。行政も「生協だったらいいか」というふうになるわけです。ですから、生協が事務局を担って、これからの地方行政消費者行政に反映させられるニーズを整理して「提言」していく、それを行政施策に具体化をしていくという、継続的積み上げが必要な状況になっているということです。 「消費者庁の組織」には、日本生協連からも出向しています。一人は「消費者委員会」の事務局、もう一人は「消費者情報課」で情報整理をする役割を担っています。それから、日本生協連の前専務・品川さんが消費者庁の参与になって、「地方消費者行政の充実プラン」を作る副本部長に就任います。この間積み上げてきた地道な消費者行政に対する提案活動が実質実を結び始めている状況にもあると考えています。また、消費者庁・政策調整課には、適格消費者団体・KC's(消費者支援機構関西)の検討委員長だった黒木弁護士が二年間出向しています。私たち生協は「自分たちが参加してつくる」というネットワーク組織を支えながら、今消費者庁強化と合わせ、四七都道府県での地方消費者行政を充実・強化することが課題となっています。 |
○地方消費者行政の強化 |
「県連はこの地方消費者行政強化の課題にどう取り組むのか」。県連が事務局を担い県内の消費者の声を代表する組織として「消費者ネットワーク」的役割を、県ごとに持つことが重要です。地方公共団体という行政区からいうと、県・市町村に対してきちんとものが言えるのは、そこに住んでいる住民なわけです。行政区の中で、「自分たちのところではこういうところが問題なのだ」「これを改善しなければいけない」ということを「提言」をすることが大きな課題となっているわけです。「消費者ネットワークを基礎として」、「消団連などを基礎にして」、「生協を基礎として」...。各県によってそのアプローチの方法は違いますが、地方消費者行政強化は、県連の大きな課題だということです。 |
○住民(消費者市民)のために何ができるか |
要するに、「この地域に住んでいる人たち、住民のために生協は何ができるか」ということを本気で考えて今取り組まないと、消費者行政が他の県は充実して行っても、ある県だけは取り残されるということです。 消費者庁は他省庁に対して「これを回収しろ」とか指示ができる、期待したいと思ってはいるが、しかし、できたばかりで、二百人ぐらいの職員しかいなくて...しかし、逆に言えば、地方行政や消費者組織が「消費者庁をもっと充実させなければいけない」「機能、権限強化もしなければいけない」と、押し上げていかないと変わっていかないという側面も大きいと思っております。だからこそ「地方消費者行政の充実がいかに大事か」今日は確認していただければいいと思っています。 お手元に、〇九年四月一日施行の「兵庫県消費者行政推進本部設置要綱」がございます。本部長は知事、副本部長は副知事、本部員として警察本部長まで入った全組織を貫いた構成になっています。事務局長は消費者行政担当の理事ですが、実質起案部署は事務局次長である生活消費局長です。この生活消費局長が、各課に事務局をおきながら推進本部全体を動かす事務局となる、かなり画期的な組織横断編成をしています。「ここまでやっていく」という目標になるような一つの事例だと理解していただきたい。 ですから県連が事務局として果たす役割は、県との渉外を積極的に展開し、消費者代表としての意見要望を取りまとめての「提言」をどんどんする。バックボーンに消費者の声を持つ「消費者ネットワーク」を前面に押し立て地方消費者行政を変えていくことが大きな課題になると思っています。 今日本生協連の会員生協は六百ですが、全部違います。「違って当然」ということが前提の組織です。人数も違えば、住んでいる人たちも、環境も全部違うわけですから、その人たちのニーズをきちんと受け止めた形で県連が、組織の背骨を担い、同時に地域にくらしている消費者・住民の全てを視野に入れた社会的役割発揮が求められているということです。関西地連も一緒に考え、交流し、学び合いながら、地域の活性化と底上げを図れる力をつけていきたいものです。 |
○今後の課題 |
先ほど申し上げましたように「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」を消費者庁が作りました。本日私が話した内容と重なりますが、この中で言っていることは「地方消費者行政の強化なくしては、消費者行政の大きな変革はできない」ということです。 ですから、県連の役割、県連を担う会員生協のあり方、消費者ネット・しがの設立とあわせ、具体的な学び合う場としての地連も活用していただきながら、さらに議論を深めていただけたら、と思います。 どうもありがとうございました。 |