滋賀の生協 No.151(2010.4.15) |
二〇〇九年度滋賀県連役職員研修会 滋賀県生協連の役割と課題(2) 二〇一〇年二月一三日(土)ピアザ淡海 303会議室 |
奈良県生協連のビジョンに学ぶ 講師 仲宗根 迪子さん (奈良県生協連合会専務理事) 奈良県生協連の仲宗根です。よろしくお願いします。 私たち奈良県生協連は、二〇〇八年にビジョン論議をして、二〇〇九年県連総会にそれを諮りまして、それに基づいて動きだしたところでございます。滋賀県生協連が、今からビジョン論議の準備をなさるということですので、そこを中心にお話したいと思います。 |
(一)奈良県生活協同組合連合会と会員生協の紹介 |
○会員生協と財政規模 |
奈良県生協連は来年二〇周年を迎えます。九〇年の三月に設立をして、九〇年五月に第一回の総会をし、五生協でスタートをしております。 当初、集まった生協は四生協[奈良市民生協(現ならコープ)、奈良県労済生協、奈良女子大生協と奈良教育大生協]しかなかったので、事業活動しているところを探しまして、天理教の高校生寮でお米を調達していた「おやさと生協」にお願いして加盟をしていただき、最小単位の五生協でスタートしております。当時で、たしか後ろから三番目の県連の設立という歴史の浅い連合会です。 二〇一〇年現在は九生協で、地域生協が三つ、大学生協が五つ、それから労済生協が一つということで、三分野(地域生協、大学生協、共済生協)の連合会になっています。【資料1】 地域生協は「市民生活協同組合ならコープ」、「生活協同組合コープ自然派奈良」、「生活クラブ生活協同組合」です。「コープ自然派奈良」と「生活クラブ生協」はまだ歴史の新しい生協です。会員数は九会員ありますが、組合員数、事業高ともに「ならコープ」が突出しております。 予算ですが、会費収入が千三百三十一万円。役員報酬が二百四十万円、物件費の委託料四百九十万円のうち四百八十万円が事務局長の事務委託費になっておりますので、役員報酬と足しますと七百万円ぐらいが人件費です。ですから千三百万円の予算ですが、実際に活動に使えるのは五、六百万円という規模です。「それにしてはよくやってるなあ」と自分で誉めています。 |
○特徴的な大学生協 |
大学生協は、「奈良女子大生協」「奈良教育大生協」でスタートしたのですが、ここを拠点に積極的に大学生協づくりを働きかけてくれました。「奈良県立大学生協」というのは組合員が五百八十四人ですが、この規模でも生協として頑張っています。もともと奈良県立商科大学という夜間大学で、夜間の学生たちの食堂を賄うということでは全国唯一でした。 「奈良工業高等専門学校生協」は高専での生協は全国で初めてです。この経験から石川高専生協ができ、東京高専生協へと全国の高専生協のリーダーとなって広がっています。 ユニークな所では奈良女子大学付属中学に生協購買部があります。これは奈良女子大生協が運営しております。保護者が組合員になって、年に二回ぐらい、生協が保護者に説明会をしているとおっしゃっていました。 全国人気ナンバーワン生協。これも「奈良女子大学生協」ですが、全国大学生協で組合員による投票があるのですが、「満足度ナンバーワン」になっています。女学生が全国から来ており、食生活ですとか、寮での生活管理ですとか、いろいろな面で大学生協が学生生活に貢献をしています。 小さい大学が多いですが、県内の学生委員が数名、「大阪樟蔭女子大学関屋キャンパス生協」と「奈良県立大学生協」から全国理事を輩出しています。年により波はありますが、元気な学生委員会が活動をしています。 県連設立当時、地域生協はまだ「ならコープ」だけでした。少ない生協で連合会を作ったということもありまして、それぞれの生協を尊重して友好的に仲良く、とにかく「やれるところで一緒にやりましょう」というモットーでやってきています。これは今も変わりません。新しく「コープ自然派奈良」や「生活クラブ生協」が入られても、各々の能力に合わせて、運営参加していただいています。平等を原則に総会の代議員数は一律会員三名です。全国を見るといろいろルールがあって、それぞれの地域ごとの事情によると思うのですが、事業高割や組合員数割を導入している所もありますが、奈良県連は一律三名で総会運営をしています。 会員数の全国的な状況を見てみますと、東京都連が八十五会員、大阪府連が四十九会員、滋賀県連が十二会員。一番小さいのが山梨県連で四会員で連合会をされています。 分野別でいうと、地域生協ですとか、労済生協、医療生協、大学生協、職域生協とかいろいろあるのですが、その分野別でいうと最多は青森県連が十分野ですね。生協以外もたしか賛助会員で入っておられたように思います。奈良県連は三分野だけです。そういう意味では、例えば「医療生協が欲しいね」というのはずっと願いとしてありまして、そんなことも県連の遠からぬ課題と認識しております。 |
(二)奈良県と地域社会の状況 |
○奈良県の特徴 |
奈良県の地理的特徴の一つは、住めるところが奈良県全体の北西部の四分の一以下、奈良盆地に大多数が住んでいて、後は南東部の山間にぽつぽつと集落がある、そんなところです。「ならコープ」は全県、山の奥まで配達には行っていますが、そういう地理的条件の中で事業をしています。 奈良県のランキングの特徴としては、新聞発行部数が全国一位、県外就業率が全国一位、ピアノの所有台数が全国二位、二人以上の世帯の家計支出が全国三位、個人貯金残高が全国四位、大学・短大進学率は高いですね。ですから自殺率が最下位であるとか、専業主婦率が高いとか、それでいて特殊出生率が四十四位です。県ではいろいろ政策を立てられるけれど、出生率は上がりません。もう一つ、年間商品販売率が四十六位ということで、要は、みなさん大きな買い物は大阪と京都でされているということです。しかし日常の食料品は県内で買われるので、県内の食品流通で見ますと会員生協トータルのシェアは七・七%。これは全国生協で四位だったと思います。 |
○県民性 |
これについてはちょっと否定的に書いてしまいましたが、保守的で、閉鎖的傾向が強いです。飛鳥時代は海外との交流が盛んで他文化を取り入れていましたが、「物部と蘇我の争い」の大化の改新以降、争い事は「東大寺と興福寺の争い」ぐらいで、あんまり大きな体制変更がないものですから、集落ごとの結束はありますが、外に対しては保守的、閉鎖的です。一方で、自然が豊かで災害が少ない分、安心して暮らしやすく、高度経済成長以降、県外からの転入者が一時期全国一位で人口が増えました。ニュータウンが各地にできましたが、はじめは地縁関係がありませんから協調性は低かったですね。七四年のオイルショックの際、県外から引っ越してきた人が灯油を買えなかったんですね。地元の米屋さんや薪炭屋さんに「新住民に売れる灯油はない」と断られたというのが、コープを作るきっかけの一つなのですが、ニュータウンの中から生協は広がっています。 今は、ベッドタウンに住んでいる大阪・京都で勤めていた団塊世代の人たち(奈良府民)が退職しだしました。この人たちが自治会活動とか、NPO活動ですとか、公民館活動に参加しだしまして、地域に回帰しています。今まで非常に保守的な県民性でしたが、地方自治に対しての関心も高くなり、若い三〇歳代の市長さんも二人出るようになりまして、そういう意味では地域社会の空気が動き出したというところです。 |
○生協の認知度 |
こういう状況なので、生協の認知度は最初は低くて特殊な目で見られました。大学生協や職域生協は組織内生協ですが、地域生協は地域と密接につながり、そこの活動が地域の評価になります。拠点生協である「ならコープ」もそういう地域性を配慮して「多数者生協」を目標に掲げ、「誰でも加入できるゆるやかな生協」作りを進めてきましたが、それでも地域社会から認知されるのに一五年から二十年かかりました。今は当たり前のように新しい二つの生協が活動していますし、地域社会からも頼りにされる組織になりました。 滋賀県生協連には地域生協は「コープしが」だけですね。私は個人的には「コープ自然派奈良」と「生活クラブ生協」が奈良県連に加入して、県連のバランスが取れたと思います。地域生協が拠点生協一つというのは、県連の人事や予算への影響が避けられません。配慮していても労済生協や大学生協など分野が違うと県連への参加の仕方も若干違うでしょう。そういう意味では気配りがいるのではないかと思います。 |
○行政との連携 |
県連も二十年掛かって、県行政や市町村行政の四十一の委員会に委員を派遣できるようになりました。最初に審議会への委員要請がきたのが九五年で、「奈良県消費生活審議会」「奈良県環境審議会」「奈良市清掃業務審議会」に委員を派遣しました。生協は消費者団体の性格と事業者団体の性格を持っていて、両方の立場が理解できますね。発言は勿論、要望も言いますが、できるだけ提案型、また自ら取り組んでいることもあるので実践報告などもしてきました。 奈良県では男女共同参画の実践で各種委員会の男女比を今は三〇%に上げています。当初、県内に女性団体が少なく、また高齢化していることもあるので、生協への期待があったのだと思います。私が務めたあとは次の生協理事に引き継ぎ、多くの方に経験してもらっています。今ではあまりご縁のない部署からの依頼もあります。このように行政とパートナーシップを築いて積極的に参画してきました。 いろいろ申し上げましたが、ここで私が言いたいのは県民性や地域社会の中でしか生協の立ち位置はないということです。全国の会議に行きますと、様々な課題が提起され、先進事例の取り組み報告がされますが、なんでも全てできるわけではなく、地域社会や県民性、自らの力量の中で取捨選択をしています。県連というのは会員生協のあり方がそのまま表れるわけですし、会員生協のありようというのは地域社会の組織風土なり、県民性なりを反映しているわけです。それらを見過ごして理想だけで走れるものではないと、あきらめも含めて実感をしています。 |
(三)県連のあり方ビジョン論議 |
京都からトンネルを越えて滋賀に入ると琵琶湖が見えるでしょう。滋賀県というのは県民全部が琵琶湖を見て生活していることを実感しますね。その辺が奈良とずいぶん違います。奈良県は、人口の8割が北西の端に住んでいて、人口そのものも減少に入りました。滋賀県生協連としてビジョンを立てられるときは、琵琶湖を抱える県民性、五〇年後まで人口が増加する滋賀県の中で「どうやって地域に根を張るか」ということを、ぜひ検証なさってはいかがかと思います。 諸団体の連携はいろいろありまして、「協同組合連絡協議会」も十七年です。それから、環境・平和・福祉、いろいろな課題で連携が進んでいます。友誼団体にお願いすることもありますが、お願いされることもあります。県からの要請も増えています。奈良には消団連がないので、特に最近では消費者行政の課題でも新しい組織を作って、事務局として取り組んでいます。整理しないとパンクしそうになったものですから、理事会に「ビジョンという格好良いものはできないけど、いっぺん課題を整理したいのでご相談したい」ということで、「県連のあり方ビジョン論議」を始めました。 |
○県連の役割と機能、課題 |
まず県連理事さんに県連の実態をお知らせする意味で「県連の役割と機能、課題」というものをみなさんに問題提起しました。 欠けている部分もあるかと思いますが、県連の役割というと、まず一番目に「県連組織の機関運営と会員相互の交流・研修、会員支援」です。総会で議決し、理事会で執行するというのはガバナンス上、重要なのですけれど、こういう小さい生協が多い県連ですので、交流や研修も大事で、「会員生協のみなさんにどういう支援ができるのか」という課題を第一に掲げています。 二番目は「生協活動の広報機能と地域社会での条件整備」。 地域社会に生協を知っていただく、要はアピールをすることと、活動を進めやすくするための渉外ですとか、広報ですとか、要請活動。こういうものがあります。 三番目に「社会から期待される役割」。 「社会から期待される役割とは何か」ということで、行政、友誼団体など他団体からの要請にどう応えるか、運動のリーダーシップをどう発揮するか、そのために力をどうつけるのかが課題です。また地域で活動されているリーダーって生協活動のOBが多いですね。こうした人材の輩出と、他団体とのネットワークをどう組み立てるかなどの課題があります。 そして四番目は「広域連携」。 まずは「生協関係団体」との連携。近畿府県連協議会や関西地連、日本生協連などいろいろな会議で情報交換をしています。 次に「消費者団体関係」。消団連の代わりではありませんが、県内や関西地域でのネットワークがあります。消費者問題は専門性と継続性が要求されます。そういう意味では、KC'sが作られたことは、大きな力になっていると思います。関西にある消費者団体や専門家、生協が消費者問題の解決のためにKC'sに結集できました。今、コープしがから職員さんに出向していただいています。奈良からも二年派遣しましたが、ネットワークが大きく広がったと実感しています。 最後に、「機関組織としての総務事務」があります。 |
○現在取り組んでいるテーマ |
で、実際何をしているのか、ということで事務局機能を持っている課題、後援やオブザーバー参加で支援している課題、行政の事業に参画している課題など現在取り組んでいる課題を列挙しています。また課題として認識しながらできていないこともあります。「国会議員・県会議員との定期懇談」「マスコミとの定期懇談」はできていません。滋賀県生協連は「賀詞交換会」に国会議員さん、県議会議員の方をお招きされていますね。しないと駄目だと思っていますが、未だにしていません。 今度二〇周年を迎えますので、記念式典のときにマスコミ各社もご招待して、この間のご報告ができるかと思っています。 県連の事務局体制は小さいので、どうしても個人の力量に左右されます。私の限界が組織の限界であってはならないと思っています。私一人でやるものではなく、県連の理事さんや、会員生協の力に助けていただいて全体を高めたい、というのがビジョン論議のきっかけです。 |
○今後の課題と期待されるもの |
様々な課題がありますが、奈良県連には大きな二つの使命があります。 一つは次世代育成です。奈良県生協連には大学生協が五つあり、各大学に学生委員がいますよね。この人たちが若い感性でいちばん吸収する時期に生協を初めて経験して、「生協っていいなあ」と思ってほしいと思っています。そのためにできるだけ支援をしたいと思っています。五年前のNPTの時に大学生を派遣しましたし、今年のCOP15にもやはり募金を中心に学生を一人コペンハーゲンに派遣しています。「合同の新歓イベント」に援助したり、一昨年は「協同組合をもう一回勉強したい」というので、「協同学苑」での合宿に交通費を助成しました。年度によって差はありますが、学生達が生協を通じて学びたいことには支援をしたいと思っています。 もう一つは奈良県には消費者団体連絡会がありません。県連には日本生協連や、全国消団連や大阪消団連から情報はどんどん入ってきますので、何とかこれらの情報を県内のいろいろな団体にお伝えして、できるところで一緒に何かやれないものかと思っています。ただ全国的にそうですが、消費者団体が高齢化したり、無くなってきていますし、活動はしても社会運動に抵抗があるところもあります。新しい活動組織を生み出すこと、ネットワークを組み立てることが課題だと認識しています。 |
(四)奈良県生協連の将来ビジョン |
○将来ビジョンの考え方 |
「県連のあり方検討会」で議論して、二〇〇九年六月に出来たのが「奈良県での生協の発展を目指して」という将来ビジョンです。【資料2】 実は中期計画としなかったのは、私自身の自信のなさで、「ここまでしか書けなかった」ということです。 「将来ビジョン」の冒頭にも書いてありますが、「奈良の地で生協が組合員のくらしを守り、地域社会とともに成長し、社会貢献できる」ことが重要で、「生協が発展するために県連はどうしたらいいのか」という、そういう形にしました。で、「この答申は中期計画ではなく、ありたい姿として表わしています」ということで、「できるところから、やれるところから、会員生協と一致したらやっていきましょう。順次取り組んでいきましょう」ということでまとめています。 |
○県連の三本の柱 |
「県連の三本の柱」ということで、一本目は「生協法や定款の掲げる目的を達成するために、会員のための連合会」そして「地域社会の窓口としての役割を果たす」ことです。 二本目に「ICA声明が謳う協同組合の精神」を大切にし、「事業体と消費者運動体の両方の性格を持つ組織」だと謳いました。社会では、「自助・共助・公助」と言いますが、協同組合セクターの価値というものをもう少し知ってほしいと思っています。「協同組合理念と協同組合事業を広め、存在価値を地域社会の中にアピールします」と掲げました。二〇一二年は国連協同組合年ですね。その準備をし、社会にも広報していきたいです。 三本目の柱は、「ネットワーク」ですが、会員生協、全国の県連とのネットワーク、他団体とのネットワークは勿論ですが、実はこの中に「会員生協の枠を越えたさまざまな活動をする組合員・職員など個人とも連携をし」というのを入れたのですね。これは、一つは、生協法の改正で県域枠が外されますね。県を越えた合併が可能になっていく時代に、県連の存在理由をどこに置くかという問題も起りますので、先ほど言ったように事業団体でもあるけれども、消費者団体というのであれば、会員生協とその組合員、市民団体や消費者の方たちとも一緒に活動に取り組めるかを模索したいという意味です。 東京都生協連には、「東京消費者団体連絡センター」という消団連が加入されています。そういう事例もありまして、将来どういう形にするかまだまだ未定ですが、会員生協のための県連でもあるけれど、地域社会のための県連と考えた時に、会員枠を越えた組合員の活動支援もありうるかなと思って書いていますが先は見えていません。 |
(五)現在の到達点 |
○役員体制の強化 |
現在の到達点ということですが、役員体制の強化を図りました。全県理事として員外理事と学識理事と女性枠に整理し、枠を増やしました。会員枠は各会員生協から一名です。会員が九つしかありませんので九会員それぞれから出ていただき、全県理事を三名置いたということです。そういう形をとって理事会機能を強化しました。 |
○協同関係の広がり |
「協同関係の広がり」ということは、今年度の県連の大きなイベントは、共催や実行委員会でやることが増えました。「賀川豊彦献身百年」を実行委員会で企画しました。「協同組合連絡協議会」全会員(JA、JA共済連、JA中央会、森林組合、生協連)にYMCA、共栄火災、それから賀川が残した保育園、社会福祉法人協同福祉会にも参加いただき、賀川ゆかりの団体が集まってやりました。農協さんと賀川の話をするなんて今までなかったのですけどね、「非常に勉強になった」と感謝されて、苦労した甲斐があったなというふうに思っています。 それから、「COP15ネットワーク関西」の奈良企画を、環境団体の「サークルおてんとさん」を前面に、県生協連と「奈良県温暖化防止推進センター」の三者で共催をし、これも県農林部や森林組合連合会、緑化推進協会の後援をいただきました。リレートークに県の報告、十津川村の村長さんの報告などを入れ、森林組合の会長さんに冒頭挨拶をお願いしてというふうに、環境団体の企画に林業に関わる方たちにたくさん集まっていただいて、開催いたしました。 それから消費者課題の取り組みとして「奈良の消費者行政を考える会」を立ち上げました。先ほども言ったように、奈良県には消費者団体連絡会がありません。地方消費者行政の強化には県民の問題意識が重要です。市民の関心なしに県や市町村の行政と相談員などの専門家だけでできるものではありません。政府が消費者庁設置に急に動き出し、日本生協連で課題提起されたとき、まず、県の担当課と消費生活センターの所長さんに情報提供し、消費者団体と専門家でネットワークを作って推進したいので応援して欲しいと相談を持ち込みました。紆余曲折はありましたが、弁護士、専門相談員、消費者団体と個人の参加で会がスタートし、1になります。世話人会はこれらのメンバーにセンターの所長さんにオブザーバー参加いただいて運営しています。その1周年と消費者庁発足記念として先ごろシンポジウムを開催しましたが、主催が県、奈良弁護士会、奈良の消費者行政を考える会の三団体の共催で、県消費生活相談員連絡会の後援をいただきました。県の活性化基金を活用しています。昨年、市町村の消費者行政調査を行い、順次、市の消費者行政訪問をしています。ただ啓発活動となると、このメンバーだけでは広がりがないので、新たなネットワークも必要かと思っています。 地方分権になると、ほとんどの施策を市町村で立案し実施するようになります。そこへ提案しようとすると県連では無理がありますね。そこに住んでいる住民の参画が求められますので、そういうことから将来的には県連の中に「地域協議会」がいるかなあと思っています。 |
○次年度の新たな活動に向けて |
地域生協の「組合員理事交流会」を開催できないかと準備をすすめています。若い生協も活動の蓄積ができてきましたので、それぞれの活動を交流し、生協間のテーマ別のネットワークがいくつかできればいいかと思っています。そうした経験を積み重ねて、先ほど申し上げた地域協議会が主要市でできればいいかと考えています。 その一つのテーマとして「食の安全懇談会の再編成」を進めています。「食品安全基本法」ができた時に、それを県内にどうやって活かすかということで、「食の安全懇談会」を県生協連のもとに作ったのですが、休眠中でしたので再度建て直しを計画しています。県の条例作りを当面の目的にしています。 そして「事務局補充」。今までは半専従専務の私と事務局長の二名体制でしたが、週三日の事務局員が増えました。ならコープの理事を退任した方ですが、運動を知っている方なので非常に機動的に動いていただいています。取り扱える課題は増えましたが、仕事量は減りませんね。消団連の期待があることも知っていますが、当面このままで進めていくことになると思います。 それぞれの歴史と地域社会との関係性の中で「自分のところではここまでできる」という範囲と、「問題を共有化して、それぞれの持っている能力を活かしあえる」そんなネットワークの中で県連はやっていければ良いかなあと思っています。 ということで、これでとりあえず終わらせていただきます。 |
【資料1】
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【資料2】
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