次に、中西部穀倉地帯の農業生産はどう変わってきたのだろう。「農地の油田化」とか「黄色いダイヤ」という見出しが新聞やテレビをにぎわすぐらい、「エタノール・ラッシュ」で中西部農村は沸いています。
トウモロコシの作付面積は、二〇〇一年当時の七千五百七十万エーカー(一ヘクタール=四十エーカー)から二〇〇七年の九千三百六十万エーカーへ、実に二千万エーカー近く増えている。日本の農地面積は耕作放棄地も入れて今四百二、三十万ヘクタールですから、トウモロコシだけで日本の約十倍作付けていることになります。
一方、大豆は七千四百七万エーカーから六千三百六十万エーカーという事で千万エーカー以上減っています。
これはどういう事かっていうと、これまで中西部の東側は「コーンベルト」と言われるトウモロコシの地帯で、トウモロコシと大豆を隔年で栽培してきました。他方西側は小麦と大豆とを隔年で栽培してきました。いずれも連作障害を避けるために、輪作を実施してきたわけです。しかし、トウモロコシの方が儲かるということでトウモロコシを連作して大豆の作付面積を減らしてきたわけです。
他方、中西部の西側の小麦地帯。ここでは、東側での大豆の作付面積が減って大豆の価格がはね上がったので、小麦の作付面積を減らして、大豆をたくさん作付けるということになったのです。結局、トウモロコシも、大豆も、小麦も異常に価格が跳ね上がる。そういう事態が発生しています。
もうひとつは人間の口には入らないエタノール原料用トウモロコシの大半はGM品種であるという点です。綿花や大豆は、二〇〇〇年頃から過半がGM品種でしたが、トウモロコシは二五パーセント程度にとどまりました。それがどんどん跳ね上がって二〇〇七年には七十三パーセント。今年の速報値では八十パーセントにまで上昇しています。
非GMのトウモロコシを手に入れること自体が難しい時代になってきているわけですね。すでに日本にもGM品種が大量に入ってきているわけです。いくら豆腐屋さんや納豆屋さんや味噌屋さんが頑張っていても、例えば食用油だとか飼料といった形態でGM品種がドンドン入ってきている。レストランで食べる。デパートの地下で食材を買う。その食材はGM品種か、そうでないかというチェックはできないでしょう。もう家庭でいくら頑張って安全なものを子どもさんに食べさせようとしても、外側から崩れてきちゃっている。そういう危険性がますます強まってきています。
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