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環境の取組

琵琶湖の環境問題の現状と課題対策について(1)

滋賀の生協 No.142 (2007.10.6
2007年度国際協同組合デー記念
『琵琶湖の環境問題の現状と課題対策について』
講師 琵琶湖環境科学研究センター研究情報統括員 熊谷 道夫氏

 今後、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の予測通り温暖化が進行すると、おそらく今世紀中に琵琶湖の湖底の溶存酸素濃度がゼロになる可能性が非常に高く、それを抑止するために、化石燃料の使用量をできるだけ抑える必要があります。研究者は、琵琶湖の溶存酸素濃度の変化と、湖底にすむ生物や生態系への影響をきちんと評価しなければなりません。(熊谷先生の講演より)
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世界と滋賀県の気温上昇
  みなさん、こんにちは。琵琶湖環境科学研究センターの熊谷道夫です。今日は、琵琶湖の環境問題の現状と、課題対策についてお話します。

最初のスライド(図1)ですが、IPCC(政府間気候変動パネル)という組織が、1976年から2000年までの25年間に、世界の平均気温がどう変わったかということをまとめたものです。ご承知のように、「地球温暖化」の進行によって、地球が少しずつ暖かくなっているのですが、特に気温上昇が大きい地域が、世界に二ヶ所あります。一つは北欧で、もう一つは東アジアです。IPCCによると、21世紀中に、約2℃~5℃、平均気温が上昇するだろうと予測されています。これは地球全体の平均値ですから、日本ではもっと上がる可能性があります。現実に過去の気温上昇を見ますと、日本、中国東北部、モンゴルは気温上昇率が特に高いのです。

  例えば、モンゴルにフブスグル湖という非常にきれいな湖があります。私が初めて訪れた1997年には、透明度が30mくらいありました。この湖では、1960年代頃から温暖化の影響が現れていて、凍土や氷河の溶解によって水位が上昇しています。一方、琵琶湖北湖の透明度は、大体6mくらいです。ところが、今年の3月に、琵琶湖の透明度が16.8mにもなりました。おそらく、琵琶湖での観測史上、もっとも高い透明度だったと思われます。では、なぜ琵琶湖で、透明度が16m以上にもなったのでしょうか。

  このスライド(図2)は、滋賀県にある彦根気象台で計測された過去100年間の気温の変化です。重要な点は、過去20年ぐらいで、急激に気温が上がっていることです。このような急激な変化は、正のフィードバックと言われる変化で、特に注意しなければなりません。急激な気温上昇は、都市域における「ヒートアイランド現象」ではないかとよく質問されます。このことを確認するために、1980年から2006年までのアメダスデータから、大津、彦根、今津、虎姫の4ヶ所における年平均気温の変化を調べました。このスライドがその結果です(図3)。■の印が今津で、◆の印が虎姫のデータです。1980年から1990年頃までは、今津や虎姫の気温は、大津や彦根の平均気温に対して、約1.5℃くらい低いことがわかります。昔は、今津と虎姫の気温は、同じように変化していました。ところが、1996年頃から、二つの気温が違ってきます。今では、今津の気温が少し低くて、虎姫の気温が、高くなっています。もうひとつの特徴としては、1980年代は、大津と彦根の平均気温は、0.5℃くらいずれていました。ところが、1990年ころからは、両者はほとんど一緒になって、最近では年によっては彦根気温が高い傾向にあります。また、北の今津と、南の大津の気温の違いは、最近では約0.5℃縮まっています。こられの傾向から、彦根における気温上昇は、ヒートアイランド現象ではなく、地球温暖化の影響だろうと思われます。

溶存酸素濃度の現象
 

では琵琶湖の底の水温はどうなっているのでしょうか。次のスライドをご覧ください(図4)。これは、彦根水産試験場のデータですが、1950年頃からあります。昔と今では、水温計測の方法もずいぶん異なってきましたので、同じ精度で比較はできないのですが、1985年ころから、水温が急激に上昇しています。これは琵琶湖の水深が約80mところの水温です。一方、次のスライド(図5)で示すように、表面の水温も上がっています。1964年からのデータを示したのですが、全部で五ヶ所の測点で計測されているのですが、すべてが上昇傾向にあります。つまり、琵琶湖は今、暖かくなってきているのです。

このような気象変動が、琵琶湖にどのような影響をもたらしているのでしょうか。次のスライド(図6)は、琵琶湖の湖底付近の溶存酸素濃度を示しています。これも水産試験場のデータですが、1960年頃から、湖底付近の溶存酸素濃度がどんどん減少することがわかります。これは、「高度成長期」に対応していまして、琵琶湖への負荷量が増えていた時代に当たります。過去のデータを整理するとわかるのですが、1960年から1970年頃の琵琶湖の水質は、驚くくらい悪くて、アンモニア態窒素の濃度が、現在の10倍以上あり、まるで、し尿をそのまま琵琶湖にまいたような数値でした。1970年代になって、リンが多くなり、やがてアンモニア態窒素より硝酸態窒素濃度の方が大きな数値を取るようになりました。1977年に、琵琶湖で初めて大規模な淡水赤潮が発生しました。赤潮が出てからは、行政と県民による努力のおかげで、1980年頃から酸素濃度の減少は少し改善されました。

  この、1960年代から1970年代にかけての時期が、琵琶湖における「富栄養化」最盛期の時代であったと思われます。富栄養化というのは、琵琶湖のまわりから窒素とかリンとかの植物プランクトンにとっての栄養が入ってきて、有機物生産量が増える現象です。これらが湖底に堆積して分解することによって、湖全体の酸素消費量が大きくなります。それで溶存酸素濃度が減ってきたわけですけれども、1980年代になって一応、富栄養化は歯止めがかかりました。ところが、1980年代中頃から、再び、溶存酸素濃度は低下し始めました。ちょうど気温がぐんぐん上昇した頃でもあります。まったく同じような変化が、五大湖のエリー湖でも報告されています。

  その当時はあまりよくわかっていなかったのですが、過去の記録を紐解いてみると、どうもやはり気温の上昇に伴って、水温も上昇してきたことがわかります。特に冬の気温が上昇しています。冬が暖かいと、水は上下に混ざりにくくなります。酸素は大気から供給されるので、水が混合しなければ、下層に酸素が十分届かなくなります。水中の酸素は、収入と支出という形で、バランスしています。酸素の収入(供給)は冬にあるのですが、支出(消費)は、春から秋きにかけて行われます。つまり、収入は地球温暖化の影響を受けるし、支出は富栄養化の影響を受けるわけです。溶存酸素濃度が、2mg/Lより低くなると、すべての水中生物に大きなストレスが働くことがわかっています。もし溶存酸素濃度が、常に2mg/Lより低くなれば、びわ湖が赤信号状態だということになります。

  酸素がなくなると、琵琶湖にいろいろなことが起こると思われますが、近年、もっとも大きく変わってきたことは、「イサザ」という固有種の魚が激減してきたことです。この魚は、昼間は湖底近くにいて、夜は上の方に上がってくるという非常に面白い生活スタイルを持っています。次のスライド(図7)からわかりますが、イサザは1960年頃まではかなり獲れたわけです。それが、1980年中頃から、急激に獲れなくなりました。今は、寒い冬の次の年には少し獲れるのですが、昔ほどではありません。それはどうも冬が寒くないと、イサザには、あまり良くないのかなあという結果も出ています。イサザは、4月から5月頃に、岸辺の岩場で産卵するのですが、3月くらいの水温があまり高いと、産卵に弊害がでるようです。

酸素供給のメカニズム
 では、水中の酸素の供給は、どうやって起こるのでしょうか。かつて滋賀大学の岡本巌先生は、冬に湖底付近の酸素が回復する現象を「琵琶湖の深呼吸」と名づけられましたが、なるほど言いえて妙だなあと感心します。確かに、琵琶湖は呼吸しているのです。この酸素の回復の仕方にはいくつかの過程があります。1つは、冬季に冷たい北西風が吹いてくると、水が上下に混ざります。混ざる事によって上の方の酸素がどんどん下の方に輸送されます。これを「湖面冷却」と言います。もう1つは、冬には湖岸が冷えます。岸が冷えると、冷たい水が斜面にそって湖底に沈みこみます。これを「湖岸冷却」と言います。それから、雪がたくさん降り、それが溶けると、川から冷たい水が湖内に入ってきます。これを「融雪洪水」と言います。この3つの過程が、琵琶湖の酸素供給源です。最近は、雪がほとんど降らないので、融雪洪水が少なくなって来ています。琵琶湖の湖底に何が一番効果的に酸素を供給するのか、と言いますと、最近研究によれば、湖岸冷却が最も効果的であるという事がわかってきました。

 これは後でもう1回話しますが、琵琶湖はとてもすばらしい湖で、このような湖は世界に2つとは存在しないのではないかと思います。例えば、琵琶湖には、東岸に適度な斜面があります。この斜面があるから、湖岸冷却の効果が大きく働きます。湖岸から湖底にもぐりこむ冷却水は、このスライド(図8)で示したように、大きな対流を引き起こします。つまり、冷却水が傾斜にそって湖底に沈み込むと、大きな対流によって中心の水が湖底から湖面へ輸送されます。このような大きな循環が、本当の意味で深呼吸になるのです。その時に、下層にある栄養とか、湖底に存在する植物プランクトン(特に珪藻)を上に運びます。これによって、冬季には珪藻のブルームが起こっていました。このような仕組みが、琵琶湖における、太古からの大きな流れだったのです。ですから、深呼吸が行われなくなると、琵琶湖では珪藻が増えなくなり、むしろ、藍藻という人間や動物にとって迷惑な植物プランクトンが増えることになります。

 私たちは、琵琶湖研究所の時代に、約3年かけて水深測量を行いました。このデータは、現在、無償で一般に提供しています。これ見たらわかりますが、西側の斜面は急で、東側はゆるやかですね。このゆるやかな斜面が存在することによって、琵琶湖は健全に保たれてきたのです。もし琵琶湖の東岸が、西岸のように急であったら、おそらく今時分は琵琶湖の酸素はなくなっていたと思います。と言いますのは、冬になると浅い所の方が先に冷えます。冷えると水は重くなります。重い水は斜面に沿って湖底を滑り落ちていきます。これを密度流と言うのですが、こうして水の中の深い所に酸素を運んでいくのです。まさにこれは自然の力ですよね。つくづく、琵琶湖は良くできているなあ思います。

 次のスライド(図9)ですが、2002年12月に淡探で計測した琵琶湖の最深部付近の水温とpHと溶存酸素濃度を示しています。湖底付近で水温が低くなっています。これは、冷たい水が入っているということです。真ん中の図はpHで、左の図は溶存酸素濃度です。pHは低くなり、溶存酸素濃度は高くなっています。これらの情報から、冷たい河川水が、湖底に沿ってもぐりこんできたことがわかります。

世界の湖と琵琶湖の比較

 さて、これまで琵琶湖を中心に話してきましたが、琵琶湖の状態は、それでは、良いのか悪いのかということをもう少し客観的に調べたいと思いまして、世界中の、びわ湖と同じぐらいの大きさの湖の情報を集めました。というのは、私たちは琵琶湖の研究者なのですが、同時に、琵琶湖のお医者さんだと思うからです。医学は紀元前からあり、多くの症例を含むデータベースの中から、平均的に「健康」と判定できます。では、湖については、何をもって健康というのでしょうか。例えば、今、見た目では琵琶湖は、結構きれいなのです。でも本当にきれいなのかどうか。それをチェックしないといけないですね。そのために琵琶湖と同じくらいの湖を調べました。びわ湖と同じようなサイズで、同じような緯度のところにあって、周辺に人が暮らしていて、それから過去の観測データが十分にある湖は、あまり多くないのです。私はとりあえず六湖沼を選び出しました。表1は、それらをまとめたものです。ここにあがっている湖は、いずれも風光明媚なところですから、機会があれば是非行ってください。まずは、ドイツにあるボーデン湖です。次は、レマン湖です。これはスイスとフランスの国境にある国際湖沼です。それから撫仙湖です。これは中国の雲南省にあります。中国には深い湖は少なくて、ほとんどは、お盆みたいなに平たい湖が多いのですが、撫仙湖は、中国で二番目に深い湖です。それからタウボ湖。これはニュージーランドにあります。この湖の面積は、非常にびわ湖に近くて、616平方キロメートルあります。それからタホ湖。これらの湖の中では、一番きれいです。アメリカのカリフォルニア州とネバダ州の間にあります。琵琶湖の面積は、これらの湖の中で一番大きのですが、深さは一番浅くて、最大水深は104mです。一番深いのは、タホ湖の505mです。タホ湖の透明度は、28mもあり、水色はコバルトブルーですごくきれいな湖です。

  「滞留時間」というのは、湖の水が入れ替わる時間を意味しています。実際には、湖の容積を、年間に流出する水の量で割り算するのです。タホ湖の滞留時間は、約700年です。一方、琵琶湖の滞留時間は5.5年です。琵琶湖の水は、比較的よく変わっている方です。これらの、六湖沼からデータを集めて、湖の診断をしました。それが次のスライド(図10)です。深い場所での溶存酸素のみかけの消費速度を計算しました。みかけの酸素消費量速度が高いということは、分解される有機物が多いという事です。びわ湖は、他の湖沼に比較して有機物が多く、酸素が消費されやすいのです。右に行くほど、酸素消費速度が低くなります。つまり、有機物が少ないことを示しており、このことが、水深500mのタホ湖が美しいままで保たれている所以でもあります。

  さて、これらの湖沼の中で、下水処理水を入れている湖と、入れていない湖があります。これは重要な話ですが、私が過去に訪れた湖の中で、きれいな湖は、下水処理水を湖内に入れていなのです。そういうことを、専門的には「流路変更」と言うのですが、これを行っているのは、六湖沼の中で、タホ湖、タウボ湖、ボーデン湖です。それ以外のびわ湖、レマン湖、撫仙湖というのは、下水処理水が湖に入っています。たとえ三次処理をした下水でもリン濃度は結構高いのです。琵琶湖の場合で、下水処理水のリン酸態リン濃度は、琵琶湖北湖の100倍くらいの濃度があります。ですから、これ以上きれいにしたければ、結局処理水を湖に入れない方が良い、ということになるのです。ただ、それにかかる経費とか、処理水を持っていく場所が問題になってしまうのです。タホ湖のように、周辺が砂漠だと、河川に流しても問題が少ないのです。タウポ湖では、周辺の農地に散布しています。琵琶湖の場合、下水処理水を瀬田川に流すと下流から文句を言われるかもしれませんが、実際には瀬田川から出た水が大阪湾に到達するまでに、7回くらい下水処理水が入っています。栄養塩だけでなく、下水処理で処理しきれないものが結構あって、それらは最終的には琵琶湖の底にたまります。琵琶湖の底は、大阪湾の平均海底よりも約20m深いので、いったん湖底にたまった汚濁物質は、ポンプで出さない限りは出て行かないのです。

富栄養化と地球温暖化
 さて、ここで少し話を整理しましょう。琵琶湖では現在、富栄養化の影響と、地球温暖化の影響が混在していると述べました。富栄養化というのは、流域からの栄養塩負荷が増加し、湖内の植物プランクトンが増える現象をさしています。この結果、「赤潮」とか「アオコ」が発生するのですが、急激に増えた植物プランクトンの何割かは、湖底に沈降します。湖底にたまった有機物は、バクテリアによって分解される過程で酸素を消費します。そして酸素がなくなると、湖底に溜まった泥から窒素やリンが出てきます。さらに嫌気化が進むと、硫化水素やメタンガスが出てきます。そして、やがて生物がすめない環境になってしまいます。

  一方、地球温暖化が進行すると、蒸発量が増えます。蒸発が増えると、塩分濃度が高くなります。さらに蒸発が進むと、湖そのものがなくなってしまします。これは現実にモンゴルで起こっています。いわゆる砂漠化といわれる現象です。また、温暖化が進むと、湖の上下混合が起こりにくくなり、温かい水が上で、冷たい水が下にたまります。混合しませんから、湖底への酸素の供給量が減ります。

  今の琵琶湖の状況は、富栄養化問題が完全に解決しきれないうちに、温暖化の影響を背負い込んでしまって、まるで2つの異なる病気に同時にかかってしまったという形になっています。この地球温暖化というのは、やっかいな問題です。普通の施策では簡単に解消できません。

  では、なぜ私たちは淡水を大事にしなければならないのでしょうか。淡水は地球上の全部の水の中の3%でしかないのです。残りの97%は、塩水です。3%の淡水のうち、75%は、北極、南極、氷河に氷の形で存在します。これこのまま温暖化が進むと、今世紀中には北極の氷が全部溶けると言われています。そうすると、75%の氷のうちの大部分が海の水になってしまいます。残りの約25%が地下水で、実際に私たち人類が利用可能な表流水は、0.6%しかないのです。この0.6%のうち、45%が湖にあります。あと、それ以外は、動物や植物の体内に入っています。土壌に含まれるのが3%、大気中にとどまっているのが5%、河川の水になっているのが4%です。では、世界でどんな湖で酸素がなくなっているのでしょうか。1つはレマン湖です。さっき言いましたスイスとフランスの国境にあるレマン湖でも、深水層の酸素がなくなっています。それから五大湖の中のエリー湖。これも酸素がないのです。撫仙湖も酸素がなくなっています。大きいところでは、カスピ海や日本海が指摘されています。したがって、低酸素化問題は、地球全体の問題だということに、もっと注意を払うべきです。可能な限り下水処理水を湖に入れないことも大切だと思います。そういう意味では、琵琶湖の取組みはまだまだ手ぬるいのではないかという気がします。
琵琶湖の過去と未来

 では、いつごろから琵琶湖の酸素がなくなってきたのでしょうか。1960年代になって、夏が終わる頃から冬にかけて酸素がだんだんなくなってきていることがわかります。また、なくなる時期も早くなっており、回復する時期が遅くなってきています。

  「琵琶湖では酸素がなくても良いのでは」という無責任な意見もありますが、酸素がなくなると、底泥から栄養塩が溶出してきます。窒素は1970年代から増えてきていますが、リンは1980年代ころから増え始めています。ですから、昔は外部負荷が問題だったのですが、最近は、内部からの負荷が増えているのです。次のスライド(図11)ですが、硝酸体窒素を、琵琶湖の表面から0mから80mまでの硝酸体窒素がどう変わったかを知るために、容積をかけて積分し、硝酸態窒素の総量を計算しました。総量は、1960年代から富栄養化の進行に伴って、増えてきています。1980年代に少し減りますが、1985年あたりの気温上昇と関連して、再び増加しています。

 では、今後どうなるのでしょか。東京大学の北沢先生が計算された結果によると、今後10年間で0.5℃だけ気温が上昇すると、7年後には酸素がなくなるという予測が出ています(図12)。過去20年間で1℃気温が上昇していますから、この想定はうそではないことになります。では、現実にこういうことが起こるのかというのと、実は良くわからないのです。私たちは、そのようなことが起こって欲しくないと思っています。この計算には、斜面の影響が入っていません。これに斜面の効果を入れてやると、酸素の減少は少なくなります。だから琵琶湖の斜面というのは、すごく大事だということがわかります。

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