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平和の取組

集団的自衛権についての学習会を開催しました。

集団的自衛権についての学習会を開催しました。

 2015年8月1日(土)、コープしが本部会議室に於いて、日本生協連の小熊政策企画部長を講師に、被爆・終戦70年の節目の年を迎え、この間の新安保法制案をめぐる新たな様相において、その核となる“集団的自衛権”の問題を学習し、みんなで考え合い、知り・知らせ、繋げていく機会として開催しました。

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日本生協連の小熊部長より、講演にあたり、①日本国憲法と集団的自衛権の戦後70年の背景と論点整理について、②安全保障法制の概要と日米ガイドラインの見直し、これらの世論と内閣支持率について、③今後の動向と、日本の生協の2020年ビジョン、私たちにできることを視点として解説いただきました    
    



=講演の主な内容=
①2014年7月1日、自衛権発動(3要件)の政府解釈の変更が閣議決定され、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国が存立危機事態に陥る場合、これを排除するために、必要最小限度の実力を行使す
る。」と、“集団的自衛権”の行使を容認することとした。
  
② “集団的自衛権”の行使は、“安全保障環境の変化”、“積極的平和主義”の観点から必要性が高まったとして、後方支援の内容を拡大し、“PKO”(国連平和維持活動)での武器使用を認め、グレーゾーンにも対応可能とした。(切れ目のない安全保障)
 ③ “集団的自衛権”をめぐる論点として、イ、他国の戦争に自衛隊が巻き込まれ、外国人を殺し、殺されることになる。ロ、行使容認の判断が時の政府・与党に委ねられ、拡大解釈される危険性がある。ハ、外国軍の武力行使等に頼る国際貢献は、自国民を守る上でも、国際紛争を解決する上でも深刻なリスクになる。
 ④ 時の政府・与党による憲法第9条の解釈変更は、“立憲主義”(憲法によって国家の権力を制限し、憲法は国民が国家を縛るためのルールとして存在する。)に反する行為であり、“憲法遵守義務”(憲法を守る義務は権力者にある。)に違反する。

 ⑤ “安全保障法制”については、集団的自衛権の行使を可能にし、後方支援の範囲を拡大、PKO(国連平和維持活動)での武器使用を認め、他国の離島での不法行為などのグレーゾーン事態にも自衛隊が対応するなどが織り込まれた11の法案からなるもの。(新設する“国際平和支援法”=恒久法を含む)
⑥ 憲法審査会において、参考人の憲法学者3名も“安全保障関連法案”は憲法違反であるとした。
  世論も6割以上が今国会での成立に反対し、8割が「十分に説明されていない」と答え、内閣支持率は急落している。
⑦ 今後、与党自民党は憲法第9条を改定し、“自衛隊”を“国防軍”として増強し、“集団的自衛権”の行使を積極的に行い、米国軍との関係性をより強化していく。(米国軍への自衛隊の傭兵化)
 一方では人口減少、少子高齢化により若者の数も減少していく、自衛官の任官不足が懸念され、将来的に人員確保のための“徴兵制”が導入される危険性もある。
 終わりに、私たちにできることとして、学びあい、話し合い、考えあって、意思表示をしていくこと。共感できる内容の集会があれば参加し、支持する内容の署名があれば協力して、世論をつくる。世論を形成していくのは一人ひとりであると呼びかけられました 。


=フリップディスカッション=

質疑応答の後、フリップディスカッションとして6グループに分かれ、①学習会前の問題意識、②学習会を受けて深まったことを意見交流し、③私たちができることを共有しました。全体会ではグループごとに、“大切にしたいキーワード”や、“気づき”について報告・共有化しました。

DSCN9576.jpg  滋賀県生協連は安保法制案の論議をめぐって、県連理事会、ピースアクション実行委員会、戦争の記憶をつなぐ会などの場で、平和憲法を守る取り組みの一環として重要な課題としてきました。この間の世論、国会審議も含め、安保法制の推進派は“国際情勢の変化、国際的な常識”を理由に必要性を強調し、反対派は“戦争法案”として廃案を主張しています。このように二極分化する中で、今回のように歴史的な経過と自衛隊の合憲・違憲などの具体的な事象を含め、今後の動向を学習する機会を持てたことは、大きな成果でした。ツイッターなどを通して自由な発言が横行する中、しっかりと学習し、意見やコメントに責任が持てるようすすめていくことが大切であることを学ぶことができました >。