活動のご案内

食の安全・安心

食の安全・消費生活条例改正・災害時における生協の取り組み・琵琶湖の環境再生と「森林税」(1)

滋賀の生協 No.135 (2006.1.1)
2005年度県議会会派・生協懇談会
食の安全・消費生活条例改正・災害時における生協の取り組み・琵琶湖の環境再生と「森林税」

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2005年11月14日(月)午後3時~午後5時
プエルタ大津会議室A
大津シャンピアホテル2階
出席議員
杼木 捨蔵議員
(自由民主党・湖翔クラブ)
出原 逸三議員
(県民ネットワーク)
中沢 啓子議員
(県民ネットワーク)
北野加代子議員
(県民ネットワーク)
谷  康彦議員
(県民ネットワーク)
森  茂樹議員
(日本共産党)
桐山ヒサ子議員
(日本共産党)
大田 勝司 (会長)
藤井 絢子
(常務理事・滋賀県環境生協)
高島 典子
(理事・コープしが)
白石 一夫
(理事・コープしが)
長岡由里子
(理事・コープしが)
小國 幸子
(理事・滋賀医科大学生協)
池田 信一 (事務局長)
宇野 裕子 (事務局)
司会 伊香 照男
(副会長・滋賀県職員生協)

 11月14日、2005年度滋賀県県議会会派・生協懇談会が開催されました。今年度は、「食の安全」「消費生活条例改正」「災害時における生協の取り組み」「琵琶湖の環境再生と森林税」をテーマに意見交換が行われました。

伊香
 ただ今より「2005年度県議会会派・生協懇談会」を開催したいと思います。
 まず県連会長の大田会長の方から、懇談会の趣旨説明とごあいさつをお願いします。


大田勝司会長
大田
 お忙しい中、本日はありがとうございます。
 これまで県生協連は、県行政に対し、主として県民生活課を窓口に連携に努め、政策提案も行ってきました。また、審議会の委員として県生協連の考え方を反映さ せてきました。
 本日の懇談会では特に4点について、生協連の考えや取り組みをご理解をいただき、議員のみなさまには県議会等を通して反映していただくようにお願いしたいと思います。
 本日は長時間にわたると思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。
食の安全を巡る情勢と条例化問題の現状 

司会伊香照男副会長
(滋賀県職員生協)

伊香
 それでは、県連から、3点のテーマを1括して池田事務局長の方から説明していただきます。

池田
 まずテーマ(1)「滋賀県における食の安全の進捗状況と条例化問題」について滋賀県生協連の考え方を述べさせていただきます。

 「この数年間の食の安全・安心を巡る情勢」についてであります。

 1999年5月、生協は「食品衛生法の改正と運用の強化を求める運動」をスタートさせ、2001年6月の通常国会に全国で13,730,000筆の署名を提出しました。これはBSE問題が起こる前ですが、国会で、生協の請願は採択されませんでした。


池田信一
(事務局長)

 その後2001年9月、日本で初めて「BSE」が発見され、県では「近江牛等安全対策会議」が設置されました。

 BSEが発見されて最初に悲鳴をあげたのが生産者、事業者です。マスコミが煽ったということもありますが消費者は牛肉を買わない。コープしがの実績も前年比50%以下に落ち込みました。

 政府は1ヵ月後の10月に国内牛の「全頭検査」を開始し、「BSE問題に関する調査検討委員会」を厚生労働省と農水省の大臣の諮問機関として設置しました。

 そういう中、12月臨時国会において6月に採択されなかった国会請願を再度行った結果、今度はスムーズに採択されました。

 滋賀県でも、12月の県議会で、JA中央会と滋賀県生協連合会の連名で「食品衛生法の改正と運用の強化を求める意見書」を出し、県議会で採択されました。

 2002年の1月、食品メーカーが輸入肉を国産と偽装するという事件が起きる中で、「BSE問題に関する調査検討委員会」の報告書の提言を受けて、生協の各府県連全てが動きまして、われわれは滋賀県選出の国会議員全部回らせてもらい食品安全に関する法律の制定を要求しました。その結果、7月に「食品安全基本法」が成立し、内閣府に厚生労働省、農水省から独立したリスク評価機関である「食品安全委員会」が設立されました。

 この流れを受けて、2003年4月、滋賀県に「食の安全・安心推進本部」が設立され、「食の安全推進室」が県民文化部食品衛生課にできました。その8月に『「食の安全・安心」滋賀県はこうします』が出されて、翌2004年3月、「滋賀県食の安全・アクションプラン」ができました。

 また、2003年12月、アメリカでBSE牛が発見され、輸入禁止措置がとられました。

 2004年10月から、内閣府食品安全委員会による「食品に関するリスクコミュニケーション」が各地で始まります。実を言いますと、2004年9月に出された「BSE問題に関する全頭検査に関する中間とりまとめ」の中で「20ヶ月齢以下の牛に関しては非常に微量のためにリスクが低い」という、「20ヶ月齢」という数値が出てきたのです。この件について11月23日、滋賀県会場でのリスクコミュニケーションで、「20ヶ月齢という線引きの科学的根拠は非常に曖昧で不透明な部分が多い」と、全頭検査の継続の意見が多かったのですが、2005年6月、厚生労働省の「BSE検査の対象月齢」について、滋賀県生協連もパブリック・コメントを出しましたが、7月1日の通達文書で、「8月から国産牛のBSEの対象月齢については21ヶ月以上」と線引きをされました。但し、その経過措置として3年間の国庫補助というのが出ますから、滋賀県は引き続き全頭検査を現在も行っています。

 今年10月末、厚労大臣と農水大臣から米国・カナダ産牛の評価依頼を受けた食品安全委員会プリオン専門調査会は、「米国・カナダに関するデータの質・量ともに不明な点が多いこと、管理措置の遵守を前提に評価せざるを得なかったことから、米国・カナダのBSEリスクの科学的同時性を評価することは困難」としながらも「仮に、管理措置月齢20ヶ月以下で、なおかつSRM(特定危険部位)を排除したものについては国内産牛肉等とリスクの差は非常に小さい(いわゆる日本向け輸出プログラムが遵守できれば)」というリスク評価を出しました。リスク管理機関である厚労省と農水省は、後段の部分を捉えて、おそらく12月にはカナダ・アメリカ産牛肉の輸入が再開されるであろうと予想されます。

 次に「食の安全に関する条例化に対する生協連の考え方」でございます。先ほどの話の続きになりますが、カナダ・アメリカ産牛肉輸入再開については、疑問と不安の声が上がっています。特に、日本向け輸出プログラムが本当に守られるのか、誰がチェックするのか等です。牛肉の輸入再開に関する世論は、朝日新聞で67%、毎日新聞でも54%が反対しています。

 全国的に食の安全を巡る状況が揺らいでいる中で、われわれとしては是非、滋賀県において「食の安全の条例化」をお願いしたいというふうに思っております。これは、今度改正が予定されている滋賀消費生活条例の第2条(基本理念)の「消費者の権利」に関わるものです。「健全で質の高い環境の下で消費生活を営む権利」「消費生活に係る商品または役務によって生命・健康および財産が侵されない権利」を行使することにあたり、県の責務として「消費者の権利の尊重およびその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者施策を推進する」ことがいわれていますから、是非そのことは進めていただきたいと思います。食の安全は人の生存権に関わる問題です。滋賀県の広報誌「滋賀+1」でも今月号(11月)で「地方分権」が特集されています。全国的最低基準を定めた法律よりも、自治の創意による条例化が大切な時です。

 全国の食の安全の条例の状況ですが、条例化は9都道府県。隣県の京都府は12月に条例化されます。

 去年の3月にできた「滋賀県食の安全・安心アクションプランがある」意見もありますが、このプランの問題点は、「だれが」という行為主体と、「いつまでに」という期日が明確でないということです。

消費生活条例の改正と 災害時生協の取り組み

 (1)のテーマに時間を取りすぎたので残りのテーマは簡潔に述べます。「滋賀県消費生活条例の改正」についてですが、既にパブリックコメントも提出していますので飛ばして、「消費者団体訴訟制度」の話をします。これは消費者団体が訴訟を起こせば、それに関連する個人の全てが救済されるという内容です。このことによって例えば「大学の入学金の返還問題」とか「悪徳業者の泣き寝入り」とかがなくなる。これだけ消費者が被害にあっている中で、この法律ができればかなり悪徳業者を減らしていけるということで画期的な法律だというふうに思っています。12月3日に立ち上げる消費者支援機構関西が、それに該当する消費者団体で、今後いろんなところから是非応援していただきたいと思います。

 「災害時に関する生協連の取り組み」ですが、今、二府四県プラス福井県で「関西地連大規模災害対策協議会の設立」を来年度に向けて考えております。是非県行政と生協の動きがリンクするよう県議会の方でも発言していただきたいと思います。
琵琶湖の環境再生と 森林税に関する見解

伊香
ありがとうございました。  続きまして、「琵琶湖の環境再生と『森林税』に対する考え方」につきまして、藤井常務から説明をお願いします。


藤井絢子常務理事
(滋賀県環境生協)

藤井
今日は、「森林税」の議論プロセスがどうだったのか、そのお話もうかがいながら、これから運動に入っていく前に議論に参加させていただきたいと思います。

 「森林税」一律800円、事業所で言えば年間2200円から88,000円と、そう安くはない金額で、しかもそれが4月からもう適用されるということは、多分県民のほとんどはご存知ないのではないかという気がしていています。さらに集まってくる年間6億のファンドをどういうふうに使っていくか、そこがキーポイントだと思うんです。

 県のリーフレット「みんなで守ろう琵琶湖の森林」を見る限りでは、この税金は「環境を重視した森林づくり」と「県民協同による森林づくり」の二つに使うということです。

 しかし、今、最大の問題は、「森林組合が食えるかどうか」というだと思うんです。森を守らなければいけないという最大テーマの中で、森林組合の従事者はどんどん少なくなってきている。そこを食べられる状況にするという危機感が全く見えないのです。

 それから、今、間伐材の90%は放置されている。しかも、「県産材を二千立米から四千立米にしよう」というけれども、その使い方は、「公共機関の建物」や「子ども達の机」ということで、ほとんどエネルギーという視点がないのです。わたし「バイオマス・ニッポン」に入っております。「バイオマス・ニッポン」は、2002年5月にスタートし、12月に閣議決定されました。各地域にあるバイオマス、森林、畜産糞尿、菜種といった生物系資源を徹底的に活かすことで、CO2削減、化石燃料や原発から新しいエネルギーに変えていこうという気運の議論が相当すすんでいるにもかかわらず、いつもでしたら滋賀県はその上の提案をする県なのに、以下の議論しか出てこない。

 例えば、山形県ではもう10月中にペレットストーブは今年度の分が全部なくなりました。今年使おうと思っても、森林組合がペレットを作ってもストーブの手持ちがないというぐらいに動いているのです。実は滋賀県も特に湖東地域振興局を中心に、木質バイオマス利用研究会があって、昨年からは、滋賀県らしいペレットストーブを開発して、森の木をペレットにして使おうという研究をしています。しかもこれは水蒸気を出したり、体の皮膚感覚もいいので、呼吸器系とか、アトピーの人にも大変いいというのです。そういう状況をみているのに、湖東地域振興局での議論が、本庁議論に一度もあがってきません。

 そして、片側、CO2削減で、本年2月16日の「京都議定書」の発効で、もう待ったなしの状況の中、全国レベルの削減数値は14%。滋賀県は何%減らすことになっているのしょうか。6%のベースのところの3.9%は森林吸収ですから、森がものすごく大きな削減対象になっています。

 しかし、驚いたことにこの「森林税」の議論の中で、「これで森林組合へいくら金が落ちますか」と言ったら「全く落ちません」という話です。

 「森林組合でないと森が守れない」「農業組織でなければ農地は守れない」「漁師でなければ琵琶湖は守れない」と、本当に性根を入れる必要がある。わたしはこのバイオマスエネルギー利用というものが随分と琵琶湖そのものの再生につながるのではないか思うのです。

 何とかその仕組みをつくろうと、私自身は「菜の花プロジェクト」をやっているのですが、東近江の菜の花館の中ではすでに籾殻の燻炭と、米糠、油かすを肥料にしてそれを使ったものが「こだわり農産物」の認証を得て愛東地域の野菜はますます売れるというふうになっております。更に田んぼから今度は森に入って「里守隊」というのができて、これが実際は松茸山を再生しようという大変大きなプロジェクトですが、じつはそこから木を伐り出すということを市民参加でやろうという計画です。

 「森林税」がこうなってしまったのは、森林づくりの費用負担を考えた懇話会の委員が研究者ばかりで、森林組合も、動いてくれるNPOも入っていないからではないのでしょうか。「いやそんなことは議論しているのです」ということであれば、是非ともお聞かせいただきたいと思います。

自由民主党・湖翔クラブ 販売責任と生協の役割

伊香
 ありがとうございました。  それでは、各会派を代表して1名の方に、4つのテーマに対する見解等につきましてご発言をお願いします。
 最初に自由民主党・湖翔クラブの方からお願いいたします。


杼木捨蔵議員
(自由民主党・湖翔クラブ)

杼木
 「食の安全」、特にBSEの問題ですが、これは特に日本の食が、欧州、アメリカなど外国から入ってきて、特にアメリカとかの輸入圧力がかなり強いという背景もひとつあります。おそらく20ヶ月齢をひとつの基準で輸入が再開されると思います。

 ただその時に、一番心配なのはアメリカの場合は日本と違って広い牧場で勝手に生まれている牛もいっぱいいてるわけです。確かに「20ヶ月齢以下であれば」ということはあるのですけれども、まあそれは認めるとしても、誰が20ヶ月齢だと確認できるのか。

 特に滋賀県の場合は、近江牛のことがありますんで、全頭検査をはずすことはないと思います。日本のほとんどの産地も取り外すことはないと思いますけれども、輸入の場合は、輸入規制というのは難しいですね。誰が確認するかが一番大きな問題だと思います。

 今、これまでの「消費者保護」から「消費者支援」の形にどんどん変わっていくという流れがあるわけですが、そういう面でドイツでは「製造責任」というよりも「販売責任」というところにチェックが入る。大変すばらしいなと思いますね。ヨーロッパと違って、販売機構が消費者を守る受け皿になれない日本では、生協さんに期待する部分が大きいです。生協さんというのは、消費者のわからない、できない機能をちゃんと持っていただけるんじゃないかなと思います。どんな時代になっても、消費者がいくら賢い消費者でも、大半がそうしたことに関わっていられないので、おそらくトレーサビリティー以上の細かな情報は得られない。トレーサビリティーでもそんなに100%できるわけではないので、やっぱり「販売責任」というのが一番大きな問題だなあと思います。

 それから、「条例化」の問題は、滋賀県として何が今課題なのか、優先順位を決めながらやっていかなければと思います。

 「災害時」の件ですが、コンビニなどと同じように生協さんも全国的な流通ルートを持っておられる。それをいざという時にどうやって活かすか。特に滋賀県なんかの場合ですと、琵琶湖もありますので、いろんなシミュレーションをしながら、役割分担というものもありますので、どの部分を受け持ってもらうか、創造的に、組織、個人含めてやるべきではないかと思います。

 それから「森林税」ですけれども、林家が生活できれば後継者もできるわけです。ところが「環境こだわり農業の推進条例」一生懸命作ってもらう努力をしたんですが、パブリック・コメントにかかると相変わらずまた、「環境こだわり農業」が「環境こだわり農産物」をつくることにすりかわってしまうんでね、ものすごく怒っているんです。

 農産物を作るというのは、これはビジネスだから農家なら当然努力して付加価値をつける。しかしそれでは生活でないけれども、他の機能をいっぱい持っている。「この機能をみんなが経済評価して、農家が最低限生活できるようにしようやないか」という部分は、みんなの理解がなければなりたたない話です。

 林家でもほとんど同じなんです。6億円では何もできないです。将来それを発展させていって、一つのデカップリングとして、山村に人が住めるようにする。林業に携わる人が後継者のめどが立つ。そういうふうにするにはどうすればいいのか。こんなんは本来「林業政策の一環」で、「森林税」というものを使う場所ではないということは言っているんですけど、なかなか理解してもらえない部分があります。

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