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消費者月間セミナー フードバンクってなに? 2018年5月26日(土) ピアザ淡海305号室 講師 認定NPO法人フードバンク関西代表 浅葉 めぐみさん |
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プロフィール
浅葉 めぐみ(あさば めぐみ)
1948年静岡市生まれ。大学卒業後、私立高校で理科教諭として21年間勤務。2003年4月フードバンク関西設立と同時にボランティアとして参加。事務局担当。2012年から代表理事。現在に至る。 |
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まだ美味しく食べられるのに、外箱が壊れた、ラベル印字ミス、売れ残った、形が悪い、食べきれない等の理由で、廃棄されている食べ物がたくさんあります。その一方で、失業や病気、いろいろな理由で、その日の食べ物にも困っている人達が、たくさんいます。この両者をつなぎ、企業や個人の方から、まだ食べられるのに不要になった食品を無償で受け取り、それらを必要とする人達のもとへ無償でお届けする。認定NPO法人「フードバンク関西」の活動を紹介していただきました。
認定NPO法人フードバンク関西代表の浅葉と申します。
日本の食料自給率は三九%(カロリーベース)と大変低いのに、平成二六年度のまだ食べられるのに廃棄された食品(食品ロス)は、六二一万トン(推定値)と言われています。一年間の日本のお米の総収量が八五〇万トンだと言われていますから、日本中の田圃で作られるお米の年間総収穫量の四分の三にあたる食べ物が、まだ食べられるのに廃棄されているということです。国連が、難民キャンプや干ばつ、大災害が起こった国や地域に穀物支援をしていますが、その一年間の総量が三六〇万トンです。その二倍を、私たちは美味しく食べられるのにもかかわらず、捨てています。
まずは、日本の食糧事情から見てみますと、日本は人の食用として九千万トンの穀物を使っています。そのうちの三分の一が廃棄されますが、廃棄食品総量三千万トンの内の約四分の一強が「食品ロス」です。
これをもう少し詳しく見てみると、平成二四年度の食品廃棄量三千万トンの内の二千万トンは「事業系廃棄物」、食品製造業、流通関連企業など、企業から廃棄される部分です。一方、「家庭系廃棄物」、家庭から廃棄され食品が、一千万トンあります。
しかし、これを食品ロスで比較してみると、事業系廃棄物の中の食品ロスが約三百万トン、家庭系廃棄物の中の食品ロスも約三百万トンとほぼ同量。実は率で考えると、家庭から廃棄される食品ロスの割合は事業系の倍ほどになります。
では、この食品ロスはどこで発生するのか。
まず、事業系から発生する食品ロスを見ますと、食品流通関連企業で百万トン、外食産業で二百万トンから三百万トン。一方家庭から出てくる食品ロスは二百万トンから四百万トン。家庭からの食品ロスが実は一番多い。家庭で廃棄される生ごみの内の四分の一が手つかずの食品で、その内の四分の一がまだ賞味期限が切れていないという調査結果が出ています。
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まず、食品流通関連企業から出る食品ロス百万トンについて考えてみます。その発生原因となる問題点は二つあると考えます。
一つは、賞味期限の決め方です。加工食品には消費期限と賞味期限の印字義務があります。「品質劣化が五日以内に顕著となるもの」には消費期限を付けなければなりません。消費期限を過ぎたものは食べない方が良い。つまり消費期限=品質保持期間と考えた方が良い。
では「賞味期限ってなに?」ということですが、「まだ賞味期限を過ぎても安全に食べられます」という公共広告機構のCMが流れたりする。美味しく食べられる期限??
賞味期限は加工食品を製造するメーカーが決めます。賞味期間(製造日から賞味期限まで)の決め方は、「品質保持期間」×「安全係数(一以下の任意の数)」と定められています。
「品質保持期間」とは、人が食べても問題が生じない、品質が保持されている期間です。メーカーが、理化学的試験と微生物検査と官能検査で決めます。理化学的試験とは、例えば油の酸化やたんぱく質の変質が進んでいるか等、化学分析でデータをとる試験です。微生物検査とは、食品の表面に付着している微生物量の検査です。微生物が増殖してある量を超えると、それを食べた人は「お腹を壊す」つまり健康被害をこうむります。その限界量を調べる検査です。官能検査とは、人の五感、におい、色、手触りで検査員が調べる検査です。日本の食品工場は高度な衛生管理の下で食品を製造しているので、理化学的試験と微生物検査と官能検査がある時を過ぎると急にデータが悪くなる。三つそろって、劣化が進む境目が見えるらしいのですね。その劣化が顕著に表れる手前までが「品質保持期間」で、食べても大丈夫、お腹は壊れない期間です。
その「品質保持期間」が「賞味期間」だったらわかりやすいのですが、日本の場合、「賞味期間は、品質保持期間に安全係数を掛ける」「安全係数は、一以下の任意の数をメーカーで決める」ということになっています。
例えばすごく風味を気にする佃煮だと、安全係数は0.7だとか、短めに設定されます。大半の加工食品は「品質保持期間×0.8」で賞味期限を設定しています。つまり、日本の消費者は安全を気にするので、安全期間を0.2残して賞味期間を決めているという事です。
問題なのは、一九九五年に法律が変わるまでは製造年月日しか書いていなかった。品質保持期間は、色、におい、手触りを自分で調べていました。それが法律が変わって「賞味期限を書きなさい」となった時に、製造年月日は書いても書かなくても良くなったのです。
という事は消費者は、賞味期限はわかるけど、製造年月日がわからないから賞味期間がわからない。賞味期間は三年のものもあるし、十日のものもある。賞味期間が三年のものだったら賞味期限が一週間過ぎても食べて全然問題ないわけですが、十日だったら、もしかするとお腹壊しちゃう。消費者が適切に判断するための情報が適切に提供されていません。
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食品流通業界では商い慣習として、賞味期間(製造日〜賞味期限)を三分の一ずつ分けて、納品期限、販売期限を設定しています。
まず、メーカーと卸業者は、「小売業に商品を売り渡すのは賞味期間の三分の一まで」となっていて、これを過ぎると小売業が買ってくれない。これが「納品期限」です。
それから次の三分の一で、小売業者は「販売期限」を設けています。皆さん、スーパーで賞味期限ぎりぎりのものを見つける事はほとんどありませんね。「別に明日使うから賞味期限が一週間あれば大丈夫」と思って買いに行ってもそういうものは手に入らない。小売業によって多少差がありますが、例えば、賞味期限一カ月前とか、30日前とか、企業ごとに「販売期限」が設定され、それをすぎると商品棚から降ろして売れ残りとして処分されます。
「納品期限」が三分の一、「販売期限」が次の三分の一だとすると、「品質保持期間」の五分の四が「賞味期間」で、その「賞味期間」の三分の二までしか商品として棚には並ばない。つまり日本の加工食品が商品価値を持つのは、「品質保持期間」の十五分の八。
日本の食品流通業界では、まだお腹を壊さずに食べられる「品質保持期間」の半分少しの期間しか流通せず、品質に問題がない食品が流通の仕組み上、食品ロスになっているという事です。
「納品期限」切れでメーカーに返品される食品は、年間で821億円分。それから「販売期限」切れでメーカーに返品される食品は、年間で432億円。無視できない金額です。返品されたものは「不良在庫」で、売ることが出来ない。だから廃棄になります。この「納品期限」は、他の先進国アメリカ、カナダで賞味期間の二分の一、フランス、イタリア、ベルギーなどEUで三分の二、イギリスでは四分の三です。だから海外ではメーカーはもっと長期間小売業に売る事ができる。日本だけが賞味期限の前に販売期限が設定され、賞味期限以内なのに廃棄が起こる、そういうもったいない仕組みで食品が流通しています。
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「家庭からの食品ロス」というのは200万トンから400万トンと推定されています。
京都大学のある研究室が定期的に特定地域の一定期間の家庭生ごみを全量回収し、解体仕分けしています。その調査結果を見ると、生ごみ中に「手つかずの食品」が22%あり、しかもその中の「賞味期限以前」の物が24%も入っていたと報告されています。
賞味期限が1週間を超えた段階で捨てられた物が19%ありましたが、これは製造年月日と賞味期限が併記されていたら、消費者は賢く考えて「品質は大丈夫」と思って使い、食品ロスを減らすことができたかもしれません。地域のつながりがまだ濃い時代なら、家庭で使いきれない食品は「おすそ分け」で近所や親族に配ったものでしたが、最近はあんまりしなくなりました。そして、生ゴミ袋に投げ入れられたとたんに、「賞味期限」が切れていなくてもごみ焼却場に1直線です。本当にもったいない。
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私たちフードバンク団体は、家庭で不要になった、まだ安全に食べられる食品を救出する手段として、「フードドライブ」を呼び掛けています。「賞味期限」まで日があり、未開封だが、家庭でもう使わない食品を、学校、職場、町内会、婦人会などで、日時を決めて定期的に持ち寄り、フードバンクに預ける行事です。アメリカでも、ヨーロッパでも、フードドライブは盛んに行われています。
フードドライブには、どういう効果があるかと言うと、①家庭で眠っている食品に気づく。安いと思って買った5個パック缶詰の残り3個とか、ずっと前に買った乾物とか、意外と見つかるものです。まず「ああ、もったいない」と気付くことが最初の1歩です。②その気付きが次の買い物に反映され、賢い消費者になるきっかけとなります。③家で余ったものを集めて地域の困っている人たちにお渡しすれば、それは命をつなぐ食べ物としてお役に立つ。皆で支え合う暮らしやすい地域作りに繋がります。④家庭から食品ロスが減り、ごみ焼却炉で燃やす食品の量が減って、2酸化炭素の排出も減り、環境保全にも貢献します。
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なぜ食品自給率が低い日本で大量に食品ロスが発生するのか。
日本の消費者は、お刺身を食べるし、お野菜も生で食べるのが大好きだから、鮮度にこだわるし、安全性にも過敏です。「賞味期限」が1日でも長く残っている食品を選んで買う。
例えば、牛乳を買う。「賞味期限」5日のものが最前列、1週間のものが真ん中、10日のものが1番奥に並んでいたとします。ほとんどの人が1番奥の10日のものを買いますよね。お店の立場から考えたら、5日のもの、1週間のものを並べても売れないのなら、10日のものだけ並べる。5日、1週間のものは棚から降ろして廃棄。そうなりますよね。
企業は、消費者の購買傾向を先取りするから、「賞味期限」では安全係数を掛けて短めに設定し、「3分の1ルール」を商い慣習として定着させて、「販売期限」を設定し、それが短い「納品期限」に繋がる。「業界が悪い」と1言ではかたづけられない、消費者の購買行動にも責任があるということです。
もし、スーパーが「賞味期限」が迫ったのに応じて値下げをしてくれたら、消費者は、安ければ喜んで買うわけです。なんでそうならないか。
大手スーパーのご意見を聞いてみると、値引きするためには、毎日大量に値札を変えなくてはいけない。そのためのアルバイトを雇わなくてはいけない。その人件費を考えると、廃棄コストの方が安い。だから最後まで売る努力よりは廃棄という事になります。
また、なんで曲がったキュウリは売られないか。段ボールに詰める時に、曲がったキュウリはすき間ができて入る本数が少なく、配送コストは割高になる。お店に並べる時には、曲がったキュウリは1盛いくらで高く売れない。配送コストがかかって高く売れないのなら、もう仕入れない。残念ながら食べ物もコスト優先で大量生産して、大量破棄しても気にしないとなってしまっているわけです。
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家庭での食品ロスは、1世帯4人家族で年間60キロ。1キロ約1000円のコストがかかるとすると、1世帯年間6万円分の食べ物を廃棄していることになる。日本全世帯で10兆円を超える額になります。企業も、家庭と同じ年間約300万トンの食品ロスを出しているというデータがありました。という事は企業も年間10兆円の損をしている事になります。
もし私たちが大量の食品ロスを減らせば食品価格は上がりますか?下がりますか?
10兆円の食品ロスを排出しているはずの食品業界ですが、毎年新しい商品を売り出して、広告費もかけて元気です。10兆円の損はどこに行ったのか?簡単に考えれば、皆さんが毎日買う食品の値段に、廃棄コスト分を上乗せしているわけです。だからどんどん捨てても、みなさんが高い食品を買って下さるから、食品企業は別に損をしていないということです。
実はこんなに食品ロスを出しているのは日本だけではない。アメリカもEUも先進国は、すごく出しています。
ならば、先進国の食品ロスを減らせば、世界の穀物市場の価格は上がるか?下がるか?
先進国は強い貨幣を背景に予算規模も大きく、大量買い付けをします。すると、どんどん相場が上がり、貧しい国の弱い貨幣と乏しい予算では、自国の国民に食べさせる穀物を充分買い付けることができない。もし、先進国が賢くなって食品ロスを減らせば、穀物市場の価格は、大量買い付けで釣り上げられることもなくなるはずです。
しかし現実はそうなっていないから、地球レベルでの問題として、①世界の栄養不足人口は8億4000万人もいる。世界人口の9人に1人が栄養不足(FAO;国連食糧農業機関)。発展途上国では5歳になる前に命を落とす子どもの数は年間500万人もいます。アメリカ1国の食品ロスを、この8億4000万人の栄養不足の方たちに渡すことができれば、10分な栄養状態になるそうです。先進国の食品ロスを世界の人たちに配ったら、8億4000万人の4倍の人たちが栄養10分状態になるそうです。
そして逆に、農産物を大量生産するために自然林をドンドン破壊して大型農場をつくっています。2000年からの10年間に、1分間に東京ドーム2個分の森林が消滅したと言われています。それが地球温暖化の原因になって、最近は日本でも夏は最高気温が普通に38℃とか、巨大な台風が来るようになりました。
もったいないというだけの話ではない。富める国の飽食や大量廃棄と、貧しい国の栄養不足、そして地球の温暖化、地球の問題が直接つながっているということです。
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片や「賞味期限」まで充分日が残っているのに廃棄されている大量の食品ロスがある。その一方で、毎日の食べ物に困っている人たちが増加している。フードバンクとは、その両端を繋いで、余った食べ物を引き受け、困っている人たちのところへ運ぶ仕組みです。食べ物は廃棄されずに、必要とされる人たちに手渡され、命をつなぐ糧として価値を全うします。
フードバンクはアメリカが発祥の地です。1960年代から活動を始めて、今200団体で、年間200万トンの食品ロスが減らされ、食べ物として活かされています。アメリカにはフードバンクを保護する法律があり、もし事故が起こった場合の法的免責もあったりします。
2016年2月、フランスで「食品廃棄禁止法(エネルギー転換法)」ができ、大型スーパーは食品廃棄ができなくなりました。法律で規制されれば廃棄物が出ないような仕入れ、販売方法を必死で考えます。余ったものは全部フードバンクに出し、フードバンクが困った人に受け渡すことになりました。それから、「賞味期限」の長い物は、賞味期限を印字してはいけなくなりました。
韓国は国立のフードバンクです。フードバンクの考え方が伝わった1998年は深刻な経済不況で、政府は何等かの対策を立てる必要があったのです。それで厚生労働省にあたるところが、中央フードバンクを作り、食品メーカーに「余った食品はフードバンクに出してください」という「食品寄付活性化 に関する法律」をつくりました。万1フードバンクに出したことで事故が起こった時には国家賠償をするという法整備もして、各地方の社会福祉協議会が末端の基礎フードバンクを運営しています。だから国策によるフードバンクということですね。
日本は本当にフードバンク後進国で、2000年に東京のNPOが活動を始め、今80団体程度が活動していると言われています。けれども、フードバンクを守ってくれる法律もありませんし、公的支援も何も入っていないので、零細な規模で活動しているNPOがほとんどです。646万トン(平成27年度の食品ロス量)という食品ロスがありながら、日本のフードバンクが束になっても4000トンくらいしか食品ロスを減らす貢献ができていない。それが状況です。
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認定NPO法人フードバンク関西は、「余った食べ物をあずかって、必要なところに届けます」というキャッチフレーズをかかげ、2003年に設立しました。私たちの思いは「食べ物は命の糧、大切にしたい」ということです。日本では、2000年に東京のNPO「セカンドハーベストジャパン」がフードバンクをスタートし、私たちが日本では2番手です。
2016年度の年間取扱量は約205トン。商品としては扱えないけれど、食べ物としては問題のない食品の寄付を受けるという形で集めています。個人の方からも集めています。
やはり食べ物なので、安全管理をキチンとする必要があって、企業とフードバンクの間では、企業には「安全性を担保してください」。わたしたちは「福祉目的の無償分配に活用します。転売しません」を内容とする合意書を交わしています。昨年度は62社ほどの協力企業がありました。
提供食品を活用して、私たちは①福祉施設への食糧の無償提供②食のセーフティネット③子ども元気ネットワーク④子ども食堂支援の4つのプロジェクトを行っています。
フードバンク関西は、80人のボランティアで運営をしています。食品企業と交渉をして余剰食品の寄付を受け、食品を搬入する。事務所で検品、仕分けをして、福祉団体を通じて。支援を必要とする人たちに無償分配をしています。
受け取り団体に対しても、食品の安全な扱い、利用者への無償分配、転売の禁止等を明記した合意書を交わしています。
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写真は定期的に企業から提供を受けている食品類です。
・スモークチーズは最後の工程で燻製にしますが、その時マダラになって検品落ち。
・豚まんは工場で作られる時、隣とくっついて皮が剥がれて検品落ちしたもの、両方とも、メーカーさんから味も栄養も問題ないのに廃棄は残念ということで、提供されました。
・箱破損のレトルトカレー。店の棚に並べるのに箱なんて関係ないのに、箱が壊れると商社に返品だそうです。
・輸入加工食品の場合は、港で検疫を受ける義務があり、検査用の試料を取り出すため箱を開けた物は商品として扱えなくなるという事で私たちが受け取れるようになりました。
・パックサラダは工場のラインが稼働すれば毎日一定量製造されますが、受注量はお天気、曜日、季節で波があり、売れ残りが出る。賞味期間は2週間以上あるので、それらを毎週工場から引き取って活用しています。
・量販店から出る、焼いて3日目、消費期限当日のパン。メーカーが決めた「消費期限」の日に受け取って、その日のうちに福祉団体に届けます。野菜、果物は、農産品なので「賞味期限」も「消費期限」もついていませんが次の入荷があると、棚から降ろすようです。桃もバナナもトマトも完熟、その日に使えば美味しいです。
・雛あられは、3月3日を過ぎると全部メーカーに返品されます。でも賞味期限は6月頃です。パッケージを変えて「おやつあられ」とはせず、4月頃、フードバンクに来ます。
・「賞味期限」まで1か月あるジュース。「販売期限切れ」食品です。
・お米も農産品で「賞味期限」はないのですが、「精米から1カ月」という販売期限を設定している量販店が多いようです。それを過ぎると、しばらく値引き販売、その後の売れ残り品、あるいはお客さんが落として袋が破れたお米、これらを各店舗から回収して、フードバンクに出してくれる量販店があります。
まだまだたくさんの種類の食品が、毎日倉庫に入り、仕分けされて出ていきます。
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私たちが取り扱っている食品、205トンの使われ方ですけど、1番多いのが福祉施設・団体への無償分配です。受け取った食品は活用してくださるところがあって、初めて役に立ちます。福祉団体は大量に活用して下さるところという意味で大事です。量的には取扱量の9割が福祉施設105か所に行っています。福祉施設も経営は楽ではありません。ですから私たちの食支援を受け入れると他に予算をまわせるので大変喜んでいただいております。
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2010年頃、大阪で親子とか、姉妹でという餓死事件が、相次いで起こりました。
その時「私たちが扱っている食べ物をこの人たちにお渡し出来ていたら」と悔やまれました。それで、初めは尼崎市と芦屋市の生活援護課に行って「こういう活動をしています」という事で相談し、一時的に困窮状態に陥った一般市民に対する緊急食支援の仕組みをつくりました。今は4市、7社会福祉協議会と事業協定を結び、行政や社協から支援要請が入ったら、即日に行政スタッフを通じて1週間分の食品を渡すという緊急支援を行っています。
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母子家庭の半分が非正規就労、パート・アルバイトで生計を立てていて、平均給与所得は年間130万円程度です。子どもを抱えて生活保護費以下の年収で必死の努力をしているシングルマザーがたくさんいます。お母さんは低賃金なので長時間労働、かつ不安定就労で、朝、昼、夜とパートに行き、それでも月給10数万円がやっと。子どもたちを学童保育に預けるお金もない。塾も無理という事も多いのです。子どもたちは、長時間を1人で過ごしています。
最近の調査では、7人に1人の子どもが、相対的貧困の中にいて、充分な生育環境に恵まれていない事が分かりました。これが今私たちの社会が抱えている大きな問題です。
そこで、4つのNPOが連携して困窮母子家庭への多面的支援をする「子ども元気ネットワーク」を立ち上げました。生活相談、教育相談、宅配による月1回の食糧支援、宅配による季節ごとの衣料品支援を分担して引き受けています。今、40世帯を支援しています。将来はもっと対象世帯数を増やしていきたいと思います。お母さんたちは働き詰めで、どういう公的支援があるかとか、子どもサポートがあるかなど調べる余裕がない。社会的に孤立しています。女性と子ども支援のNPOがその部分の支援を行い、フードバンク関西は月1回の宅配で食品を25キロくらい届けます。子どもたちは宅配が届くのをすごく楽しみに待っており、お母さんは子どもの喜ぶ様子を見、誰かに見守られている事を実感してホッと安心して、束の間の家族だんらんを楽しむ。そんな精神的な支えになっています。
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子どもを取り巻く環境の変化として、共働きや片親家庭が増加し、1人で食事をする子どもたちが増え、親が多忙すぎて子どもの養育に10分手がかけられない状況も多くなっています。
「子ども食堂」というのは、忙しすぎる親に変わって、ゆとりのある地域の大人が温かな手作りごはんを準備し、子どもたちと1緒に食べて団欒の時を過ごし、地域ぐるみで子育てに係わろうという仕組みです。子どもをめぐる環境が厳しくなる中、「1人でご飯を食べている子どもたち集まれ!!」「みんなで食べれば、おいしいよ。たのしいよ」と呼び掛けて「誰でもおいで」という中で、食が欠けている子どもたちも、孤食の子どもたちも気安く集まれるようにして、支援を必要とする子どもたちを見守っていこうということです。
大阪市内、兵庫県内も「子ども食堂」がどんどん増えています。主催者はお母さんたちやNPO、子育て支援団体など、いろいろです。開催する場所は、公民館とか、食堂の休業日とか、個人の自宅、福祉センター等で、子どもが歩いて行ける距離に1つ、学区に1つが理想です。食材集めは、地域の子育てなので、地域の商店街に食材寄付を求めたり、地域のスーパーさんに相談に行って、それをきっかけに地域の支援者、賛同者を増やす事が大切とアドバイスしています。運営資金は、ボランテイアで寄付を募ったり、あるいは、子どもから100円、大人からは500円とるという形で、次の食事代の予算を組んでいたりします。活動内容は、もちろん1緒にご飯をつくって食べるだけでなく、1緒に勉強する、宿題をする、その後楽しい時間を大人と過ごすことが出来るよう工夫されています。
フードバンク関西は、子ども食堂の中で、食材が不足しているところには食材支援をおこなうだけでなく、兵庫県南地域(尼崎から赤穂、加古川まで)で子ども食堂をしている団体に参加を求めて、「兵庫こども食堂ネットワーク」を立ち上げ、事務局を引き受けています。2,3か月に1度の顔を合わせての会議とグループメールにより、情報交換と問題解決法の共有を行い、長期に継続して子ども食堂を運営していけるよう、支えています。
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フードバンクは、とても合理的で有効な福祉のしくみだと思うのですが、日本には、フードバンクを支える、法整備がありません。アメリカも、カナダも、ヨーロッパも、韓国も、企業に食品寄付を促すような法律があるし、万1の事故に備えて法律的に免責、あるいは賠償制度を国家が作っています。そのような法整備が全くない事は、日本でフードバンク団体が活動を活発化できない大きな理由です。
それから、運営費の確保。企業から余った食べ物を集めて、それを困っている人に無償で届けるので、全く収益性のない事業です。どのフードバンクも、多くの方に賛助会員になっていただいて年会費を集める、寄付を募るとか、それから助成金があれば、それに応募するというような形で、運営資金の確保に苦労しています。
フードバンク先進国は、アメリカもヨーロッパも公的支援が3分の1入っています。韓国の場合は全面的に国家がサポートしています。日本では、公的支援が全くありません。
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本当に食べ物に困って空腹の人たちはまず食べなくてはいけない。食べて、ほっとして、そして明日のことを考える余裕を作る必要があります。フードバンクは、まず食べ物をお渡しできるので、非常に困窮している人たちにとても効果的な支援が出来ると思っています。
日本の食品ロス量から考えると、フードバンクは今後更に発展する必要があります。フードバンク事業を長期継続させるためには、企業のみなさんに食品のご提供をお願いしないといけないし、市民のみなさんには賛助会員としての参加をお願いをしないといけない。
企業の人たちは、「販売期限」、「納品期限」が過ぎて返品された不良在庫でも、自分の作った食品を捨てたくない。だから企業現場の人たちからは「ありがとう」と言っていただけます。それから。お渡しする福祉施設のスタッフさんの喜ぶ顔、お母さんたちの喜ぶ顔、これは何ものにも代えがたいボランティアの喜びです。
フードバンクは、喜びの多い、「ありがとう」が行き交うボランテイア活動です。
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