滋賀県連からのお知らせ

滋賀県生協連ニュース No.7-4

滋賀県生協連ニュース No.7 (2006.11.20)

アメリカからフェリシア・ネスターさんを迎えて「本当に大丈夫?アメリカのBSE対策」の講演会が開催されました。
 11月9日の朝刊のニュースで、日本の大阪港にて、アメリカ産牛肉が認可されていない部位が発見された記事が載っていましたが、日本の消費者(団体)は「またか」という感じで騒ぎ立てる様子もありませんでした。ちょうど、同じその日に全大阪消費者団体連絡会主催で、アメリカからフェリシア・ネスターさんを迎えて「本当に大丈夫? アメリカのBSE対策」と題する講演会がありました。

 フェリシア・ネスターさんは、ニューヨーク州弁護士連合会に所属。1995年~2004年の10年間食品安全部門のディレクターとして政府責任調査プロジェクト(GAP)で働いた経験の中から、その間に米国農務省食品安全検査局食肉鶏肉検査官からの内部告発を扱った。この時に様々な違反活動を見聞きし、日本では、合同出版から「ノーコンプライアンスレコード~日本向け米国食肉処理施設におけるBSE違反記録~」が出版されました。

 フェリシア・ネスターさんは、アメリカの食肉処理場の実態をこう説明しました。
※米国では、2003年12月に最初のBSEが確認された。これはカナダ産の牛であたっが、米農務省はこれ以降に牛肉加工工場に対する新たな規制を実施し始めたが、その実施状況は不十分である。他の諸外国、日本やEUではBSE感染牛が食肉に混入しないために、と畜前に厳しい検査態勢をひいているが、アメリカでは食用にと畜される牛のほとんどが検査されていない。徹底した検査態勢をしない代わりに米政府がとった対策は、特定危険部位(SRM)の除去であった。特定危険部位さえしっかり除去すれば、BSEは全く問題はないという前提でこの対策がとられた。

※米国では、30ヶ月齢以上の牛のSRMの除去が義務づけられているが、連邦政府の検察官の内部告発報告によると、企業の従業員が正しく月齢を判断していない現状があり、このために30ヶ月齢以上の高齢牛のSRMを含む部位に「検査済みシール」をつけざるを得ない状況にある。また、企業側は効率をあげ少しでも利益をあげるために、SRMを適切に除去するために経費をかけたり、ラインの速度を落としたりはしない。従って、危険性の高い牛肉が加工場の最終ラインを終えて、製品になってしまえば誰にも気付かれないという現状がある。

等の話が続々とされました。当日は、消費者団体だけでなく、学識経験者や畜肉関係者等の参加され、熱心にフェリシア・ネスターさんの話を聞き入っていました。一部の人々は「もしアメリカ産牛肉が問題ならば、消費者には選択の自由がある。選ばなきゃ良い」という意見もありますが、加工食品(カレールウ、コンソメスープ等)や化粧品について、アメリカ産牛肉が使用されているかどうかを考える消費者は少ないと思われます。
  
フェリシア・ネスターさん