滋賀県連からのお知らせ

森永卓郎さんが滋賀県に来る!

滋賀の生協 No.138 (2006.10.16)

9/17(日)「タケシのTVタックル」でお馴染みの森永卓郎さんが滋賀県に来る!
 滋賀県生協連の呼びかけにより結成した「ピースアクション2006・しが」実行委員会と滋賀県反核・平和連絡会(準備会)の共催による「平和を求める講演会~森永卓郎・平和を語る」を9月17日(日)に野洲文化小劇場で開催し、200名を越える参加者がありました。

 森永氏は、何回も使ったような薄汚れた紙袋をぶら下げて壇上に登壇しました。開口一番「タケシのTVタックル」の裏側を紹介し笑いをとった後、現在の経済情勢を語りました。森永氏は小泉首相のこの五年間、実質的に日本の経済政策の舵取りをしてきたのは、竹中平蔵氏であったと述べ、彼の進めた新自由主義経済の哲学の基礎は「自分だけがよければよい」「他人が不幸なほど幸せ」と述べ、その新自由主義経済政策の特色は大きく言って四つあると述べられました。具体的には、【1】規制は全て取っ払い市場原理に委ねる。【2】税制の改革(改悪)。金持ち減税、貧乏人増税。【3】低所得者層による戦争請負(イラク戦争のアメリカ兵の例)。【4】教育格差の発生をあげられました。また、紙袋からおもむろに、図解した資料を掲げながら、この五年間、庶民はどうなったのかを語りました。その中で、「日本の貧困層比率が、いまや先進三十カ国の中で、アメリカに次いで二位にランクインするほど悪化したこと」「生活保護世帯が遂に100万世帯を突破したこと」「この数年間で、減少する正規雇用(正規社員)と大幅に増加する非正規雇用(フリーター、派遣契約社員等)の割合について」「自殺者が八年連続で年間三万人を越え、交通事故死者数の三倍の数であり、その内容は経済苦・生活苦を理由とする中年層の増加が目立つ」等の生々しい話をされました。

 そして、「自分は2003年に『年収300万円時代を生き抜く経済学』を書いたが、見通しが甘かった。年収300万ならば何とか生き抜けるが、年収が150万では生き抜けません。しかし、現在の多くの非正規雇用は150万そこそこの年収しかない状態です。今後もこの層がどんどん増えてくることはあっても減ることはありません。それは、政府がこの間、意図的に作り出しているデフレ政策です。今度の安倍さんは“再チャレンジ”社会なんて言っているが、この格差を解消する気など全くない」と述べられました。そして、こうした状況と平和問題とどういう関係があるのか?についてこのように語られました。

 今後、ますます格差社会はひろがり、多くの貧困者と一部の金持ちという構図は鮮明になる。その中で、『人間の性』として、わかりやすいフレーズで「救済」を語る白馬の騎士を求める。巨額の戦争賠償金と超インフレにより経済的にあえいでいた戦前のドイツにおいてヒットラーの出現がそうであったように。日本では、70年前に浜口雄幸という首相が、昭和恐慌の中を金融引き締め政策を行い東京駅で右翼に襲われ亡くなるが、その頃の時代とあまりにも状況が似てきている。自分は「ポスト小泉」が一番危ないと言いつづけてきたが、ほぼ独走状態で安倍晋三氏が総理総裁になるだろう。彼が何を表明しているかは明らかである。それは「憲法の改悪と教育基本法の改悪だ」と述べられた。

 更に、自分自身の生い立ちに触れ、「自分の父親は、人間魚雷『回天』の乗組員として、もう少し戦争が長引けば、特攻員として亡くなっていた。従って自分もこの世に存在していなかったことになる。あれから61年の年月が過ぎ、戦争がどれほど悲惨であるかはだんだん薄れている。しかし、私たちは戦争に反対していかなければならない」と述べ、いまの政府の新自由主義政策の帰結としても戦争が必要になることを経済アナリストの立場から明らかにされ、その歯止めとなるのが「憲法九条」であり、とても九条を守ることが大切であることを述べられました。


今後、ますます格差社会は
広がると述べる森永氏

会場の参加者は、
森永氏の講演を熱心に聞きました。

主催者を代表して開会の挨拶を述べる
滋賀県立大学四回生の岸田翔君