滋賀県連からのお知らせ

滋賀県生協連ニュース No.9

滋賀県生協連ニュース No.2 (2008.8.05)

国際協同組合デー企画 8月1日県内協同組合合同研修会開催 「世界と日本の食糧事情を学ぶ」
 毎年7月の第1土曜日が「国際協同組合デー」です。滋賀県内では、これを記念して8月1日協同組合の合同研修会を開催。コープしがからは西山理事長が食の安全の取り組み、消費者問題、平和の取り組みなどを報告。漁協からは燃料高騰による漁業者の実体報告。農協からは食育の取り組みが報告されました。今回の研修では、今まさに国家としての問題である食糧自給率の実体。また世界と日本の食糧事情を京都大学名誉教授、中野一新先生の講演で学びました。


【講演】テーマ「世界と日本の食料事情について」
講師 京大名誉教授 中野一新氏

 今回の講演は世界的な穀物の価格高騰の原因をアメリカの穀倉地帯の生産構造と需給の変容からひもとく内容でした。世界の食糧は過剰と不足の併存から絶対的不足へ移行しつつある。

その要因として、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)による食糧確保と生産主要国による輸出規制の流れがある。その一方で穀物価格の高騰の引き金となったのが、「エタノール・ラッシュ」(穀物によるエタノール製造)である。米国のエタノール製造量はブラジルを抜いて世界最大となった。米国のエネルギー政策は再生可能燃料を2022年360億ガロンへ拡大。そのうち150億ガロンがトウモロコシ燃料。米国中西部の穀倉地帯ではエタノール原料用のトウモロコシが輸出用トウモロコシを上回る事態になった、人間の口に入らないエタノール原料のトウモロコシはGM品種となり農地の油田化が進んでいる。それを進めているのが穀物メジャーである。アメリカの農業が食料としての農業、家畜の餌としての農業から燃料としての農業へ変容してきた。このような状況に投機マネーが穀物市場に入り高騰させている。

中野先生の米国の農業資料をもとに2時間、世界的な食料価格の高騰について学ました。


「日本における食糧自給率の実体について」
講師 近畿農政局 滋賀農政事務所 農政推進課 北 政彦氏

(1)食糧自給率の推移ではカロリーベースで昭和40年73%が平成2年50%を切り、平成18年39%。

(2)主要先進国ではカナダ145%、アメリカ128%、フランス122%、日本は最低水準である。

(3)滋賀県は自給率が51%。51%を下回る市町は13市13町の内、6市(大津、草津、栗東、湖南、守山、彦根)

(4)小麦や魚介類で輸入が増え、畜産物では輸入飼料による生産が増えている。

(5)米の消費量は昭和40年111.7%、平成18年61%と落ち込んでいる。

(6)自給率アップをめざして、消費面で米の消費拡大や食育の推進。生産面で販売先の確保と生産の拡大。
 
京大名誉教授
中野一新先生
近畿農政局
北 政彦氏