滋賀県連からのお知らせ

滋賀県生協連ニュース No.6-2

滋賀県生協連ニュース No.6 (2006.10.10)

「県連創立25周年記念事業」を、夜回り先生こと水谷修氏の記念講演で開催しました。
 滋賀県生協連合会が1981年に創立されて
今年で25年となります。それを記念した「県連創立25周年記念事業」として、夜回り先生で有名な水谷修氏を講師とした記念講演会を9月24日(日)、野洲文化ホールにて開催しました。

この間、滋賀県下の六つの大学による学生実行委員と県連役職員からなる実行委員会を四回開催し、企画を練り上げました。当日は朝から、700名近い人々が参集し、来賓の嘉田知事の挨拶等による記念式典の後、「夜回り先生」こと水谷修先生の二時間ぶっ通しの講演が行われました。

 「自分は夜の世界の住人である。夜の世界は薄汚い悪の世界であり、青少年が入ってくる世界ではない。ネオンサインが輝く京都河原町でも木屋町でも良いから、朝に行ってごらん。そこは絶対にきれいな世界ではないはずだ。」「しかし、家庭環境や学校環境の問題から、その夜の世界を徘徊する少年・少女がいること」「リストカットする若者の問題」「薬物汚染のおそろしさとその実態」等を、夜回りの体験に基づく実話を話されました。

 そして、15年前に神奈川県の有名な進学校の社会科の教師から、夜間高校の教師になった経緯から始まり、夜間高校に通ってくる生徒たちの実態と、横浜の盛り場における夜回りの経験を通じて、「携帯やメールでは本当の人間関係は築けない。実際に生身で話し合う」ことの大切さを述べられた。そして、数々の少年・少女との出会いと交流を通じて、明日の希望につながる逸話も話されました。

 基本的な視点は「どんな子どもたちもオギャーと生まれてくる時は、あらゆる可能性を持って生まれてくる。その個々の人間に独特の持ち味があり、その個性を伸ばしてあげるのが学校であり家庭なのである。しかし、現在は社会全体が『攻撃的』になっており、父親は社会でストレスを一杯ためて家庭に戻ってきて、連れ合いにストレスをまき散らす。夫からストレスを受けた主婦は子どもにあたる。子どもはどうすれば良いのか。」「夜の町を徘徊したり、リストカットしたりする若者を非難してはいけない。そうすることにより、崩れかけるバランスを保とうとしているのだから。大切なことはそうならざるを得ない環境や原因を一つ一つ取り除く作業と、そうした本人をサポートをしてあげることが大切であること」等を述べられました。

 最後に、「どんな子どもたちも、一人一人がこの宇宙に一つしかない花の種である。多くの大人たちから多くの優しさや愛や夢や希望をもらうことでしか咲かない。一人の大人に裏切られたら10人の大人に相談しなさい。一人の先生に裏切られたら10人の先生に相談しなさい。一人の友達を失ったら10人の友達を作りなさい。必ず救いはあります。また、大人たちにもお願いがある。暗い夜の町を徘徊する子どもに眉をひそめ、下や横を向いて避けるのは止めて下さい。誰でも良いですから朝と夕方の声かけ運動を推奨します。」と語られました。

 会場では、あちこちからすすり泣く声も聞かれ、二時間ぶっ通しの講演に対して、終了後には割れんばかりの拍手が起こりました。そして、講演後のサイン会には、本を購入した聴衆の長蛇の列ができました。
 
実際の体験をもとに、二時間全身全霊で語りかける水谷先生嘉田知事は、公務ご多忙の中を出席して、祝辞をいただきました。