滋賀県生協連合会について

会長挨拶

「原点から未来へ」
滋賀県生活協同組合連合会会長
水原 渉
 滋賀県生活協同組合連合会は、お陰様で、今年度で創立三十周年を迎えることができました。しかし、昨年、三月十一日には東日本で大震災が発生し、多くの人命が失われ巨大な物的被害に見舞われました。原発事故も起こり甚大な被害を広域に及ぼすと共に、復興を阻害する大きな要因になっています。これらのことも忘れてはならない年でもあります。

 創立来の本連合会の事業活動は、会員生活協同組合、友誼・連携団体、滋賀県を初めとする県内各自治体など、多くの方々のご協力なしには不可能でした。創立三十周年の節目において、あらためて皆さんに感謝の意を表します。

 本連合会の精神は協力互助にあります。これは直接的には本連合会の会員の運動・事業発展と各会員の組合員の方々の生活での文化的経済的な向上を中心対象として展開していくものでありますが、それだけに留まらず、総計で三三万人の組合員を抱える十四会員の生活協同組合の連合団体として、そして県内最大の消費者団体としてなど、その社会的役割には大きなものがあり、この意味でも、この協力互助の精神を具現化していく努力をしていると自己認識しています。そして、これまで、「食の安全・安心」、「消費者保護」、「平和」、「環境」、「防災」などの社会的な課題に対しても力を注いできました。

 最近の活動で特徴的なことに触れますと、「食の安全・安心」の課題では、二〇〇九年に制定された「滋賀県食の安全・安心推進条例」の実現に中心的役割を果たし得たと自負しています。消費者保護の課題でも、二〇一〇年三月に〝契約社会〟での消費者被害や悪徳商法、詐欺などの防止、被害救済を目的とした「消費者ネットしが」が結成されましたが、この設立、運営にも本生協連は大きな役割を果たしていると考えています。平和の課題ではピースアクションなど毎年取り組んでいる課題と共に、核兵器廃絶、飢餓・貧困問題の解決、環境保護などを通して恒久平和の世界を目指す目的を持った平和市長会議への加盟要請行動を行い県内全市町長さんの参加を実現しました(全国平均六二・二%…一〇〇%加盟県は広島、山口、大分の四県のみ)。環境問題では「一日エコライフ」などへ参加、県内環境団体との連携を進め、地球温暖化防止に向けて取り組んでいます。「防災」の課題では、他生協、生協連、関西地連、日生協との連携で、これまで五回「近畿地区生協広域連携図上演習」を行政からの参加も得て実施しています。滋賀県を対象に、県西部を震源としたマグネチュード七・五の震源発生を想定した演習が行われたこともあり、この中での問題点が滋賀県大規模災害対策委員会にも反映されたりしています。

 東日本大震災についても日本生協連との連携、コープしがの対策本部への参加、会員生協の支援状況集約、復興支援金の送付など、幾つかの取り組みを行ってきましたし、今後も必要な対応を進めていきたいと考えています。

 この震災に際しては、日本社会の弱さと強さが如実に示されたと思います。弱さの一つは原発の安全神話に代表される状態をつくりあげた(そしてつくりあげさせた)社会構造部分です。強さは被災者の生活、復興の支援に、向けた国民の連帯的活動でした。連帯、連携、ネットワークの力強さをあらためて確認できたと思います。

 さて、昨年四月には、生協連の活動を中期的な視点で、確固とした軸を設けて進めていくために、「滋賀県生協連二〇一五年ビジョン」を策定しました。そこでは、特に少子高齢化社会、格差社会の中でますます重要となってくる連携・ネットワークの視点に、滋賀県生協連の活動を重ね合わせて、会員の相互交流と連携、支援を強化し、しかし、県内諸団体、県の行政、議会など外部との関係も強め、これまで以上に県生協連が大きな役割を果たしていくべく決意し、中期活動の展開を展望しています。

 皆様におかれましても、この様な滋賀県生協連の活動を改めて理解して頂き、今後ともご協力、ご支援をお願いしながら、以上をもって創立三十周年を迎えた滋賀県生協連のご挨拶とします。