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食の安全・安心

消費者月間記念シンポジウム パネルディスカッション(2)

滋賀の生協 No.171(2015.8.5)
パネルディスカッション
みんなでつくろう!消費者が主役の社会!!

2015年5月30日 ピアザ淡海(滋賀県立県民センター)三階大会議室

■コーディネーター
土井 裕明氏(弁護士、NPO法人消費者ネット・しが理事長)
■アドバイザー
高橋 久仁子氏(群馬大学名誉教授)
■パネリスト
西井 富美子氏(守山市健康推進委員)
石原 秀一氏(コープしが宅配事業部商品事業フロアマネージャー)

   広告と消費行動
土井  販売サイドとして、テレビCMの影響は感じますか。
石原  特に新商品などは、注文がたくさんあって商品をお届けできないこともあります。
土井  「夜スリム トマ美ちゃん」という商品は、「飲めば、寝ているだけでダイエットができる」という無茶な広告をして、消費者庁から表示に合理的な根拠はないと行政処分を受けました。問題ある広告がなくならないのは、売れるからなのでしょうね。消費者がそういう広告に踊らされないということは難しいでしょうか。
西井  年齢を重ねるとどこか体がおかしくなります。「もう少し脂肪が減ったらいいな」という気持ちになっている時に、心をくすぐる新聞広告が出ていると買いたくなります。
土井  健康食品以外でも、スーパーで魚を食べると頭が良くなるとか、野菜を食べるとこんな効果があるとか、どこまでがOKなのか。高橋先生、それは気にはならないですか。
高橋  なります。最近の野菜ブームで、身体の解毒作用や抗酸化作用を高める成分「スルフォラフォン」がどうのとか、これで良いのかなと思います。それからエアコンの、プラズマクラスターイオンとかマイナスイオン発生とか、あれも酷いですね。
土井  プラズマクラスターは、消費者庁からの措置命令が出ましたね。

   フェアトレード
土井  生協のフェアトレードの商品の取り組みについて、ご紹介していただけますか。
石原  種類はそんなに多くないのですけど、コープブランドの商品としてはブラジル産のコーヒー、スリランカ産のセイロン紅茶などを企画しています。
土井  売れますか?
石原  普通の商品に比べて単価が一〇〇円ぐらい高くなりますので、宅配利用組合員十万人で、百点くらいの利用です。
土井  国民生活白書の調査では、「フェアトレードって何ですか」約六〇%、「他の製品より安ければ買う」一六・七%、「同品質で同価格だったら選ぶ」一五・五%。「同品質だったら多少高くても選ぶ」六・一%。「価格に関わらず買いません」が四・七%です。
 日本の場合、フェアトレード製品が市場で選択されるという形になっていない。フェアトレードというだけで敢えて高い方を選ぶのは、消費者としては抵抗がありますか。
西井  私自身は、千円、二千円も高いのであれば考えるかもしれないですけども、百円、二百円プラスだったら購入したいなと思います。まだ知らない人がいっぱいいますので、もっとアピールしていただけたら良いなと思います。

   レジ袋の有料化
土井  滋賀県はレジ袋を有料化しています。実際にエコバッグを持って行きますか。
西井  持っていきます。レジ袋は三円、五円と有料ですから、もったいないと思います。
土井  生協も有料化していますよね。有料化する時にクレームとかなかったですか。
石原  一九八三年に、瀬田のお店の組合員の運動から「有料化」が実現したのです。
土井  レジ袋がほしいという人は少ないのですか。
石原  コープぜぜ店の来店組合員は、月にのべ六万二千人。その中で四、五百人です。九五%の方はご使用になられません。

   まとめ
西井  高橋先生のご講演は知らなかったことばかりで、踊らされていることっていっぱいあるなと思っています。「まじめな消費者」として物を買う目を具えたいと思いました。
石原  組合員に正しい情報を発信して、商品を選択していただくことは大事なことだと感じました。さらに、知った情報を組合員から組合員に伝達もしていただきたいと思います。
 また、生協には牛乳や卵などを予約登録して購入する仕組みがあります。これは利用者の安定利用で生産者と利用者側が協力してロスをなくす仕組みです。ここを拡大して、食品ロスの削減と組合員が安心できる商品をお届けしつづけたいと考えています。
高橋  食に関わる方々がまじめに仕事をしていらっしゃる。そして私たちは普通のスーパーなどで、普通に流通しているものを買う。そこに危険なものはないと言い切っていいと思います。ただ、消費者が小賢しく特殊なルートで何かを買おうとするとつけ込まれます。巧みな宣伝広告に惑わされないで、地に足の着いた食生活を営んでほしいと思います。
土井  消費者が社会的影響も考えて積極的な消費行動をとることで、悪い商品や企業は淘汰され、良い商品が残る。それが消費者市民社会だろうと思います。消費者も自覚的に行動する。そのための「消費者の5つの責任(①批判的意識を持つ責任②主張し行動する責任③社会的弱者への配慮責任④環境への配慮責任⑤連帯する責任)」もまとめられています。
 今日のシンポジウムを機会に、みなさんもお店でどんなものを買うのか、買わないのか。今一度見つめ直す機会にしていただければ良いかと思います。ありがとうございました。

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