滋賀県連からのお知らせ

提言 これからの5年で取り組む課題

滋賀の生協 No.139 (2007.2.10)

『生協連活動』
写真元滋賀県生活協同組合連合会長
滋賀大学 学長
成瀬 龍夫

協同精神と近江商人のような経済的才覚をもった存在に
 県連創立二十五周年おめでとう。
 この二十五年間、前半と後半ではだいぶ様子が違い、前半は、「協同組合の再発見」といわれた一九七〇年代の急速な発展を受け継いでいましたが、後半になると、市場競争が激化し、さらには長期のデフレ不況が続きました。この間良いことも苦しいこともあったわけですが、県連はつねに県内生協間の連携に意を払い、県に対しては消費者団体の代表として重要な意見や提言を行ってきました。県連がこうした活躍を通じて果たしてきた社会貢献は決して小さいものではなく、私は長年のご努力にあらためて敬意を払います。

 さて、日本経済はようやくデフレを脱し、生協は新たに前進する段階を迎えています。私がいま生協に期待することは、今日の時代認識を踏まえた生協事業の展開と生協ブランドの再構築です。

 地球環境問題に対応して生協が自らのブランドとしても提起してきた「安全」「安心」は社会に定着しつつありますが、環境破壊に歯止めがかかっていません。世界有数の多資源多エネルギー消費国である日本の国民が環境問題への認識と自覚をいっそう深めるように、生協は組合員や地域住民と一緒になった環境問題の学習教育に力を入れていただきたい。

  次に、少子高齢化、格差社会とワーキング・プアのひろがりといった社会環境下で、生協には新たな課題が提起されています。未来を担うべき若者たちが将来への展望を失って、一部では社会的弱者に転落する傾向が見られます。「働き、結婚し、子供を育てる」という、親たちが普通と考えてきた営みに困難を感じている若者は少なくありません。若者を励まし、彼らが地域で協同の輪に加わる機会と受皿をもっとひろげていただきたい。

 あとは、滋賀の生協の「滋賀らしさ」「近江らしさ」を今後いっそう打ち出していただきたいことです。滋賀はなんといっても近江商人の商業文化の伝統を受け継いでいる地です。私は、近江商人と生活協同組合とは、「三方良し」の事業理念において相通ずるものがあると考えます。生協も、近江商人の優れた商業文化に学び、「協同の精神と近江商人のような経済的才覚」をもつ存在になってほしいと思っています。

『生協連活動』
写真 前滋賀県生活協同組合連合会長
滋賀大学教育学部 教授
大田 勝司

各単協の足腰をより強固にするために県生協連がどのように関わっていけるかが課題
 これまで三期にわたって会長を務めさせていただきましたが、その間、以下の取り組むべき課題をあげさせていただきました。

 1 単なる会員生協の集合体ではなく、存在感を示せる連合会へ
 2 政策提言能力を持つ
 3 各会員生協相互の交流

 これらの課題はもちろん、いざなぎ景気を超えたといわれる経済情勢や現在進められている生協法の改正をどう受けとめるべきかなどの課題を含めて、これからの五年で取り組むべき課題という期間限定の課題ではなく、これまでにも取り組んできたことであるし、また今後も常に少しでも改善されていくべき課題ではありますが、四分の一世紀を超えた滋賀県生活協同組合連合会において特に重点的に取り組んでいただければと願っています。

 上記の課題以外で、これからの五年で取り組むべき課題ということで特にあげるとすれば、経済情勢や生協法の改正とも関連がありますが、各単協の足腰をより強固にするために県生協連がどのように関わっていけるかという点だと思われます。

『食の安全』
写真 滋賀県立大学
人間文化学部生活文化学科食生活専攻 教授
柴田 克己

健康の維持と食料の安定供給について生協へ思うこと
 寿命の限界まで二〇歳代の健康を維持したまま生きたい。健康とは、身体に悪いところがなく心身が健やかなこと、である。私は、健康という目的を達成するための最も有効な手段は、食べ物の適正摂取であると信じて教育・研究を行っている。口に入れる物はすべて食べ物である。したがって、食べ物の知識が必要である。この食べ物は安全か、健康を維持するために必要な栄養素が摂れるのか、といった知識である。生協の食べ物の安全政策推進に関して期待することがある。食品添加物と農薬のことである。安定した食料確保のために使用されるものが農薬である。収穫した食料を効率よく利用するために使用されるものが食品添加物である。両者ともに食料の安定供給に必須な化学物質である。したがって、健康の維持に必要な化学物質である。農薬を使わないで収穫された食べ物が安全であるということはない。いわゆる合成食品添加物を使用しない食べ物が安全であるということもない、両者ともに、きわめて厳格な毒性試験を行った結果、使用量が定められている。私は、生協に、両者を使用しないということを安心として、見せかけの付加価値をつけた食べ物をなくす普及活動を期待したい。

『消費者の権利』
写真 滋賀県弁護士会所属
土井法律事務所 弁護士
土井 裕明

「消費者によい商品を届ける役割」と併せて生協に期待するもの
 生協は、これまで、「消費者によい商品を届ける」という役割を担ってきた。その点では、生協は、十分な実績を上げてきたといえる。しかし、せっかくの巨大消費者組織なのであるから、商品だけでなく、「消費者によい情報を届ける」という面でも、ぜひ、力を発揮してほしいと願う。
私も、消費者問題をしばしば扱う弁護士の一人であるが、やはり、多重債務問題や、不招請勧誘に起因するトラブルの解決で、忙殺されている。どちらの問題も、消費者に対する正しい知識の普及、消費者教育の充実が欠かせない。せっかく、多数の消費者を組織していながら、生協がこの役割を担わないのは、いかにももったいない話である。

 生協は、安くてよい「品物」を届けるだけの「商店」ではないはずである。各種の規制が緩和され、消費者が自立することが求められる時代である。自分たちの生活を守っていくための、消費者の運動体として、消費者教育を充実させる取り組みにも、期待したい。

『環境』
写真 新江州(株)代表取締役会長
循環型社会システム研究所代表
森 建司

作る人と使う人の一体感を中心にしたお互いの感謝のお返しの思いを 商売の中に取り込んでいく「もったいない市場」の創造を
 今の社会現象を見ていると、現在の社会が抱えている重大な課題は決して環境だけにとどまらない。環境問題も緊急の課題であることは間違いないが、拝金主義、快楽志向、家庭(家族)崩壊、倫理欠落等々によると思われる戦慄すべき事象が頻々として惹起されている。犯罪行為として表面に出てきているものは、まさに氷山の一角である。

 私たちは、環境問題を解決するために、「もったいない・おかげさま・ほどほどに」の環境倫理の考え方を、生活の意識として定着する事が出来ればという思いから、ささやかな運動をしてきているが、これはひとり環境問題だけにとどまらず、人生感、価値観、あるいは人の生き様そのものとして、生活全体の様々な場面に浸透されるべきものであることを痛感するこのごろである。

 作る人と使う人の一体感を中心にした、金儲けだけでなく、お互いに感謝のお返しの思いを、商売の中に取り込んでいく「もったいない市場」が出来ないだろうか。

  そんな生協の事業展開を期待しているもののひとりです。

『福祉』
写真

龍谷大学経済学部教授
石川 両一

くらし「ささえあい」による子育て支援に生協の力を

 昨年、ついに高齢化率が二一%に達し、超高齢化社会に突入、世界一の高齢国になった。日本の高齢化は今後益々、加速化し、将来予測によれば、二〇一三年に二五%を超え、二〇二三年には三〇%、二〇五二年には実に四〇%を超えるという。この異常な高齢化の加速化は、長寿化よりも深刻な少子化によるものである。このままの少子化が進めば、四〇年後の赤ちゃんは五〇万人を割るという。少子化に歯止めがかからない限り日本社会そのものが崩壊することは間違いない。

 深刻な少子化の進行は、子育て環境の急速な悪化が原因であり、抜本的な改善策が不可欠である。行政・企業・労組は、言うに及ばず、多くの子育て中の女性を組合員とする生協においても「ささえあい」による子育て支援に全力を尽くしてほしい。

  「コープしが」では、「福祉でんわ」「ささえあいサポート」「福祉ネットワークセンターゆめふうせん」「ふらっとプレイス」と相次いで、ささえあいの取り組みと、気軽に集まり、交流する広場事業を開始した。それは、孤立と孤独に陥りやすい親子にとってほっとするスペースであり、互いに情報を提供したり、ささえあう心強い拠り所になりつつある。食べ物生協から生活全般を支えあう生協への脱皮こそ、生協への信頼と求心力を高め、事業拡大効果をも生むことになろう。ぜひとも全県的な取り組みへと拡大されることを望みたい。


『平和』
写真 滋賀県反核・平和連絡会(準備会)事務局
医師
今村 浩

県下に一三万世帯以上が分布する生協組合員の「平和への志」に期待します
 滋賀県反核・平和連絡会(準備会)は、二〇〇二年の夏に取り組んだ「映画・軍隊をすてた国」の上映会の取り組みが発展的に組織された集まりです。この間、毎年、夏に生協が他団体に呼びかけて進められている「ピースアクション実行委員会」と私たちの滋賀県反核・平和連絡会(準備会)は、幾つかの取り組みを共同で進めてきました。

 昨年度は、八月六日の三井寺からパルコ前までのピースパレードの実施や、九月一七日の経済アナリストの森永卓郎氏を招いた「平和を求める講演会」等を共同で取り組みました。また、四月から六月にかけて、平和市長会議が提唱する核兵器廃絶のための緊急行動「2020ビジョン」の賛同署名と理解促進のために県下二六の市町長を訪問しました。

 現在の情勢は、「格差社会の拡大と、それに対するやり場のない怒りや攻撃性の蔓延で」ちょうど昭和の初め頃の様相を呈しているようにも見えます。生協の大きなスローガンは「平和とよりよい生活のために」とあります。理屈ではなく生活の場から平和を追求する姿勢は、地に足がついていて、頼もしい限りです。より多くの組合員みなさんが、お母さんの立場から、平和について一歩づつ取り組みをされることを今後とも期待します。